三国志 後漢 魏(三国志)

皖城の戦い

2023年6月27日

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宮下悠史

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皖城の戦い(かんじょうのたたかい)西暦214年
勢力
指揮官孫権呂蒙甘寧朱光
兵力不明不明
損害不明不明
勝敗

皖城の戦いは曹操が朱光を派遣し、皖を魏の勢力圏にしようとした事で起きた戦いです。

皖城の戦いの内容に関しては、正史三国志の呂蒙伝や注釈の呉書に詳しく書かれています。

呂蒙孫権に上表した事で、孫権が自ら出陣しました。

多くの者が攻城兵器を使いじっくりと攻撃する事を進言しますが、呂蒙が短期決戦を主張し、孫権は採用しました。

斬り込み隊長となった甘寧の勇猛さと後続部隊を指揮する呂蒙のお陰もあり、皖城の戦いは朱光も捕虜となり短期間で終わりました。

張遼が皖城への援軍としてやってきますが、皖城に到達する前に城は陥落しており撤退した戦いでもあります。

朱光の動き

曹操は朱光を廬江太守に任命すると、朱光は皖を本拠地として水田開発を行ったり、間者を使い鄱陽の反乱分子に声を掛けるなど、活動を活発化させました。

朱光の動きに対し、呂蒙は次の様に述べています。

※正史三国志 呂蒙伝より

呂蒙「皖は土地がよく肥えており豊作となれば、必ずや朱光は軍勢を増すであろう。

それが数年も続けば曹操の本来の意図が現実化してしまう。

早いうちに除かねば後顧の憂いとなる」

呂蒙は曹操の狙いが皖に勢力を根付かせる事だと看過しており、早期に朱光を取り除くべきだと主張しました。

呂蒙は孫権に上奏し、皖城の朱光を攻撃する様に進言します。

孫権は呂蒙の発言を聞くと重要事項だと判断し、自ら兵を率いて皖に向かいました。

呂蒙の策

孫権は皖城を陥落させる為の軍議を開きますが、多くの者が皖城の城壁の下に土山を置き、攻城兵器を増やすのがよいと述べました。

この話を聞いた呂蒙は急いで前に出て、次の様に進言しました。

※正史三国志呂蒙伝・注釈呉書より

呂蒙「土山を用意し攻城兵器の到着を待つようでは、どうしても日数が必要となります。

その間に皖城の防備も完成してしまい外部からの援軍も到着し厄介な事になるはずです。

さらに、我が軍は雨で水かさが増しているのを利用して攻め込みましたが、ここに長く留まれば水も引いてしまう事でしょう。

そうなれば撤退も困難となってしまうはずです。

私が皖城を見るに、大して堅固でもなく我が方の精鋭を繰り出し、四方から同時に攻め立てれば一時で攻め落とす事が出来ます。

作戦を成功させた上で、水量があるうちに帰還する事で勝利を確実なものとする事が出来るのです」

孫権は呂蒙の作戦に従う事になります。

呂蒙が皖城の戦いで短期決戦を挑んだのは、司馬懿が上庸の戦いで孟達を電光石火で斬った事例を彷彿させるものがあります。

呂蒙としては孫権に皖城攻めを上表した時点で、頭の中ではシミュレーションが出来ていたのでしょう。

ここで呂蒙は甘寧を升城督(突撃隊長)に推挙し、最前線での指揮に当たらせました。

さらに、呂蒙自身が精鋭を率いて、後続の部隊を指揮する事になったわけです。

数時間で城を落す

皖城の戦いでは早朝から呂蒙甘寧が攻撃を仕掛けました。

呂蒙は兵の士気を挙げる為に自ら太鼓とばちを討ち鼓舞した話があります。

甘寧の勇敢さと呂蒙が士気を煽った事で、士卒は勇躍し短時間で皖城を陥落させました。

さらに、朱光まで捕えるなど大戦果を挙げています。

皖城の戦いは数時間で終わり呉軍の完勝だったわけです。

この時に張遼が援軍として夾石まで来ていましたが、皖城が落ちた事を知ると撤退しました。

張遼の援軍が皖城に到着していたら、かなり厄介な事になったと考えられ、呂蒙の短期決戦の判断は見事としか言いようがないでしょう。

戦後

孫権は皖城の戦いでの呂蒙の働きを見て、即座に廬江太守に任じ戦いで手に入れた軍馬を全て与えたと言います。

即座に呂蒙の功績に報いた辺りは、孫権が如何に呂蒙の活躍を喜んだのかが分かるはずです。

孫権は尋陽の屯田民六百名と官属の三十人を呂蒙の部下としました。

甘寧が論功の2位となり折衝将軍に任命し孫権は報いた話があります。

孫権は過去に呂蒙と蒋欽に学問を勧めた「呉下の阿蒙に非ず」の逸話がありましたが、孫権自身も呂蒙がここまで成長するとは思わなかった様に感じています。

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