名前 | 蘆髪蒲見別王 |
読み方 | あしかみのかまみわけのみこ |
別名 | 足鏡別王 |
コメント | 仲哀天皇の異母弟 |
蘆髪蒲見別王は古事記や日本書紀に登場する人物です。
古事記では蘆髪蒲見別王は「足鏡別王」と記載されており、母親山代之玖玖麻毛理比売となります。
蘆髪蒲見別王の父親は日本武尊であり、兄は仲哀天皇となります。
仲哀天皇が日本武尊の事を思い白鳥を諸国から取り寄せますが、蘆髪蒲見別王は献上された白鳥を奪ってしまいました。
蘆髪蒲見別王が白鳥を奪った事で、仲哀天皇に滅ぼされる事になります。
今回は古事記や日本書紀に登場する蘆髪蒲見別王を解説します。
白鳥を奪う
仲哀天皇は成務天皇が崩御すると、天皇に即位しますが、父親である日本武尊を思い出すと哀しみが止まる事はありませんでした。
日本武尊は白鳥に姿を変え、昇天したとも伝わっており、仲哀天皇は白鳥を各地から献上させようとします。
越国から四羽の白鳥が献上され、宇治川の畔で越の国の人が宿営していました。
この時に、蘆髪蒲見別王が献上される白鳥を見て「この白鳥を何処に持っていくのだ」と問います。
蘆髪蒲見別王の問いに対し越国の人は「仲哀天皇が父王を恋しく思い飼いならそうとしているので、献じるのです」と答えました。
越国の人の話を聞くと、蘆髪蒲見別王は次の様に述べました。
※日本書紀より
蘆髪蒲見別王「白鳥といっても、焼いたら黒鳥になってしまうであろう」
言い終わると蘆髪蒲見別王は白鳥を奪ってしまいました。
越国の人は白鳥を奪われ仕方がなく朝廷に、経緯を説明しました。
蘆髪蒲見別王の最後
仲哀天皇は蘆髪蒲見別王の話を聞くと「先王に大して無礼」と考え、蘆髪蒲見別王の態度を問題視しました。
仲哀天皇は軍を蘆髪蒲見別王に向け、戦いに敗れた蘆髪蒲見別王は命を落とし滅びています。
日本書紀では蘆髪蒲見別王が亡くなった記述の後に「蘆髪蒲見別王は天皇の異母弟である」と書かれています。
当時の人は蘆髪蒲見別王が白鳥を奪い滅びた事を、次の様に述べたと言います。
※日本書紀より
父は天であり、兄は天皇。
蘆髪蒲見別王は天を侮り君に背いたのだから、その罪を逃れる事は出来ない。
当時の人が蘆髪蒲見別王の死に同情する事無く、当然の事だと考えていました。
ただし、仲哀天皇と蘆髪蒲見別王は異母兄弟でもあり、成務天皇が崩御した後に、何かしらの後継者争いがあったのかも知れません。
さらに言えば、神話の時代から日本では弟が後継者になる例が多かったわけです。
神武天皇や綏靖天皇も末子であり、当時の日本では末子相続が当然の様に行われていました。
こうした事情もあり、兄の仲哀天皇の即位に蘆髪蒲見別王は不満だった可能性もある様に感じています