南部信光は南部信政の子で、根城南部氏の当主となった人物です。
祖父の南部政長から八戸を譲られ本拠地としています。
後村上天皇から鎧を下賜されており、この鎧が国宝として現在も伝わっています。
陸奥の南部氏は南部師行の時代から南朝を支持しており、南部信光も南朝を支持し続ける事になります。
尚、南部信光が亡くなると弟の南部政光が後継者になりました。
八戸を譲渡される
正平五年（１３５０年）に祖父の南部政長から南部信光は八戸の領地を譲渡されています。
父親の南部信政は四條畷の戦いで戦死したとも言われており、祖父の南部政長よりも早く亡くなった事で、八戸の領地は南部政長から譲渡されたのでしょう。
七戸の領地は南部信光と政光の母親（工藤貞行の娘）が譲られました。
七戸の領地が誰の者になるのかは、南部信光の母親に託されたわけです。
嫡子である南部信道が八戸の領地を譲渡されており、七戸のよりも八戸の方が格上の領地だったと見られています。
根城南部氏は甲斐の南部地方の出身ですが、南部政長は甲斐の領地に関しては何も言われていません。
南部政長は南部師行と共に再三に渡り、押領されていると訴え続けていましたが、帰ってくる見込みは少ないと考えていたのでしょう。
八戸は重要拠点
南部信光に譲られた八戸ですが、重要拠点だったと考えられています。
八戸は南部師行が糠部郡奉行所を設置した場所であり、南部師行が石津の戦いで戦死した後は、南部政長が引き継いでいたのでしょう。
この八戸を継いだのが南部信光という事になります。
八戸は根城南部氏にとっての重要地域です。
後村上天皇からの恩賞
（画像：櫛引八幡宮HPより）
南部信光は南朝として忠義を尽くし、後村上天皇から鎧や領地などを下賜されています。
後村上天皇が下賜した鎧は、国宝「白糸威褄取鎧・兜・大袖付」であり、現在も八戸市の櫛引八幡宮に所蔵されています。
尚、甲斐の神郷に領地を与えられた事が確認されています。
南部信光は北畠顕信の推挙もあり、大炊助や薩摩守にもなっています。
因みに、南部政長は甲斐の倉見山にも領地を持っていましたが、こちらは南部信光の叔父である新田政持（南部政持）に与えられています。
南部氏の出身地は甲斐であり、甲斐と縁が深い事が分かるはずです。
南部信光が亡くなると弟の南部政光が後継者となりました。
※この記事は南北朝武将列伝南朝編をベースに作成してあります。
