周(西周、東周) 春秋戦国時代

周の携王と二王朝並立

2024年6月14日

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宮下悠史

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名前周の携王
別名携恵王
本名姫余臣
生没年生年不明ー紀元前750年
一族父:周の宣王 兄:幽王

周の携王は西周王朝から周の東遷期の人物ですが、史記では名前が一切登場しません。

携王は周の宣王の子ともされています。

史記では周の幽王の敗死の直後に申に晋の文侯や秦の襄公が集結し、周の平王を洛陽に入れたかの様な記述があります。

これが史記における周の東遷ですが、実際には西方では虢公翰が王子余臣を擁立し周の携王が即位しており、携王と平王で周は二王朝並立時代に突入したわけです。

携王の王朝は20年ほど続きますが、次第に劣勢になっていき最後は晋の文侯に討ち取られたとされています。

周の携王は平王に与するに討たれたと言えるでしょう。

携王の即位

周の幽王は申侯や犬戎との戦いに敗れて太子の伯服と共に亡くなりました。

竹書紀年によると、この時に「虢公翰が王子余臣を携の地で擁立した。周は二王が並立した」とあります。

申には周の平王がおり、携王が即位した事で、紀元前770年には周は二つに分裂していた事になります。

さらには、鄭の桓公が洛陽を抑えた事で、三者鼎立状態になったとも考えられているわけです。

周の携王の「携」ですが、竹書紀年では「携」で即位したとあり、竹書紀年の記述に従えば明らかに地域名だと言えるでしょう。

ただし、繋年の方では「邦君と諸官の長は幽王の弟の余臣を虢の地で擁立した。これが携恵王である」と記述されています。

繋年では携王は虢の地で擁立された事になっており「携」の意味は分からず恵王と読む事も出来るわけです。

携恵王に関しては「携の恵王」と解釈される場合と二字の諡号で「携恵王」だとする説があります。

どちらが正しいのかははっきりとしません。

尚、繋年の記述から携王が宣王の子で幽王の弟だと判明しました。

周には皇父などの邦君の実力者が存在し、王畿内に領地を持っていた邦君の勢力が周の携王を推戴したという事なのでしょう。

申には周の平王がいましたが、周の平王は元は廃嫡された太子であり、西周王朝から申候の元に逃亡した人物でもあり、正統性は薄いとも考えられ余臣が携王として即位する事になった可能性もあるはずです。

周の携王が本拠地とした場所ですが、鎬京の付近を本拠地としたのではないかとされていますが、はっきりとしない分部ではあります。

携王の最後

周は二王朝並立時代に突入したわけですが、晋の文侯鄭の武公が周の平王に臣従を誓い虢国も平王側に鞍替えしたと考えられています。

諸侯が周の平王に靡く中で、周の携王は次第に劣勢となって行ってしまったのでしょう。

繋年によれば「即位から21年。晋の文侯仇が恵王(携王)を虢の地で殺害した」とあり、これが紀元前750年だとも考えられています。

携王はの文侯により命を落としたこと以外は不明な点が多く分かっている事が殆どありません。

それでも、携王が平王の勢力に敗れた事だけは間違いないのでしょう。

携王の死への影響

周の携王は亡くなったわけですが、周が平王の元で直ぐに統一されたわけではありません。

繋年には周の携王が亡くなった記述の後に「周に王がいない状態が9年間続いた」とあり、周が直ぐに一つにまとまった訳でもない事が分かります。

周の携王は邦君と呼ばれる内諸侯に支持されたと考えられており、周の幽王の後継者としての正統性があったと考えられています。

こうした事情から、内諸侯の反発もあり、直ぐに平王が周王として認められたわけでもないのでしょう。

尚、「周に王がいない9年」と言うのは、幽王の死から9年とする説もありますが、繋年の記述を普通に読めば携王の死から9年を指す事は明らかでしょう。

しかし、結局は平王よりも周王としての正統性がある者がいなかったのか、諸侯や邦君らは平王を周王として認め、晋の文侯は少鄂に平王を入れますが、周の平王は3年で洛陽に移る事になります。

ここにおいて、周の東遷は完了した事になります。

因みに、周の文侯は746年に亡くなったとも考えられ、少鄂の地に平王を入れたのは後継者の晋の昭侯だったのかも知れません。

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