名前 | 彩陶(さいとう) |
分類 | 仰韶文化など |
コメント | 素焼きの土器 |
彩陶は低温で焼かれた土器であり、黄河文明に属する河南の仰韶文化で発見され話題になりました。
彩陶を見ると分かる様に「彩(いろどる)」の文字が入っています。
「彩」の名前からも分かる様に、彩陶には模様が多く含まれており、鮮やかな芸術品にも見える程です。
彩陶に関して言えば鉢、盆などにも模様が描かれています。
彩陶は仰韶文化では有名ですが、仰韶文化では無地の土器の方が多く発見されています。
しかし、彩陶を調べる事で、当時の技術力なども見えて来るわけです。
今回は黄河文明の芸術品にも見える彩陶を解説します。
鮮やかな土器
彩陶を見ると優れた芸術品としての楽しむ事が出来ます。
紅色を加えた彩陶は目立ちますし、白や黒の色も入れたりもします。
彩文には波形文、渦巻文などがあります。
尚、彩陶は鮮やかな土器ではありますが、多くの場合で足が無く壺にしか使う事が出来ませんでした。
彩陶に関しては単なる入れ物であり、本格的に煮たり焼いたりするのは黒陶の登場を待たねばなりません。
彩陶は素焼きの土器
彩陶の特徴ですが、見事と言える程の模様が入っている事でしょう。
先にも述べた様に様々な色の土器がつくられています。
しかし、彩陶の模様から見えて来る事があります。
土器に模様をつけるには低温で焼くと簡単に模様がつけられるわけです。
こうした事情から仰韶文化では土器を高温で焼く事が出来ず、素焼きで焼いていたと考えられています。
仰韶文化では土器の上に藁を被せ火を点けていたとされているわけです。
藁に火を点けるだけであれば、どうしても火力が逃げてしまい高温が出す事が出来ません。
その為、彩陶に強い熱を加える事が出来ず、自然と脆くなってしまい仰韶文化での彩陶は、強度を出す為に土器の厚みを増すわけです。
竜山文化になると窯を作って焼く事で、土器の強度が向上しました。
高温で土器を焼く事が出来る様になると黒陶や灰陶が広がりを見せる事になります。
中国では彩陶はオリジナルだと主張される場合もありますが、エジプトやメソポタミア、ギリシャなどでも彩文土器が発見されており、彩陶に非常によく似ています。
世界各地で独自で彩文土器が開発された可能性もあるのかも知れませんが、現実的とは考えられておらず、西アジアのメソポタミア文明の彩文土器が中国に伝わった考えるのが自然でしょう。
彩陶から見えてくるのは、メソポタミア文明と黄河文明の間で交流があった可能性があるという事です。
メソポタミア文明とインダス文明の交流は既に確認されています。
尚、仰韶文化を過去には彩陶文化と呼びましたが、現在では仰韶文化の周辺の地域でも彩陶が見つかっており、彩陶文化の名前は廃れてしまいました。