紫啓はキングダムに登場する架空の人物です。
キングダム8巻で嬴政が向に昔話をするシーンがありますが、この中に紫夏が登場し、紫夏の回想シーンで紫啓が登場します。
紫啓が亡くなる時に「恩恵は全て次の者へ」と語り、これが紫夏に大きな影響力を及ぼす事になります。
紫啓は人格者だった事は間違いないでしょう。
紫啓は闇商人という設定になっていますが、実際には義賊の様な存在でもあったのでしょう。
三人の孤児
紫啓は紫夏の回想で登場します。
紫夏の回想よると、紫啓は行商をしており、敵国に兵に追われていました。
この時の紫啓の肩には矢が刺さっており、荷も捨てての逃走中であり、苦しい状態だったのでしょう。
ここで紫啓は三人の孤児を見つけました。
紫啓は餓死寸前だった紫夏、江彰、亜門の三名に手を差し伸べ馬車に乗せました。
後年に紫啓の後継ぎが紫夏となり、同じく行商(闇商)を行う事になります。
キングダムの設定では長平の戦いで白起に趙括が敗れた事で、趙は40万もの兵士が世を去り、孤児が大量発生した事になっています。
紫啓を養父とする紫夏、江彰、亜門も戦争孤児だったわけです。
紫啓に助けられた紫夏は恩を覚えており、趙で虐められていた嬴政を助ける事になります。
嬴政を助ける紫夏は紫啓に自分を重ねたのでしょう。
紫啓と紫夏
嬴政を連れて紫夏は逃亡しますが、趙の胡服騎射を採用した騎馬隊は強力であり、追いつかれてしまいます。
冬顔率いる騎馬軍団は紫夏の一行と戦闘に入り、亜門が命を落としました。
さらに、秦の道剣が矢が体に何本も刺さり世を去ります。
絶体絶命の状況となりますが、紫夏が「養父(紫啓)」に問いかけるシーンがあります。
紫夏の心の中には、いつも紫啓が大きな存在としていた事が分かります。
紫啓の最後
江彰も討たれ状況は悪化していましたが、前方に煙が見えた事で秦の昌文君や壁が助けに向かっている事を悟りました。
昌文君と合流すれば形成逆転出来ますが、既に嬴政と紫夏以外に生き残っている者はいなかったわけです。
趙の騎馬隊に囲まれ、紫夏も奮戦しますが、傷を負い嬴政は「頼むからじっとしていてくれ」とする言葉を発しました。
ここで紫夏は幼い頃に「赤の他人に命がけで助けられた」とする話をします。
赤の他人とは当然ながら紫啓の事です。
さらに、紫夏は話を続け紫啓は紫夏が10歳の時に、別の人間を救おうとして命を落としたと述べています。
紫啓は紫夏が10歳の時に亡くなった事が判明します。
恩恵は全て次の者へ
紫啓が亡くなる時に、紫夏は「受けた恩に対し私はまだ何一つ返せていない」と述べました。
しかし、紫啓は「恩恵は全て次の者へ」と伝えています。
紫啓は「自分に返す必要はないから、他の者に恩恵を与える様に」と告げた事になるでしょう。
さらに、次の様に告げました
※キングダム8巻 第81話より
紫啓「私の命も幾人かの命によって救われて来た その恩を余さずお前達(紫夏、江彰、亜門)に注いだつもりだ
紫夏 お前がこの先 他人のために何かできたら それは私にとっても 大きな意味をもつ
どんなに些細な ことでもいい・・。
受けた恩恵を次の者へ
そうやって人はつながってゆく」
この言葉を嚙み締めたのが紫夏であり、最後の力を振り絞って趙の冬顔の兵士と戦いました。
紫啓の言葉が最期の力を与えたとも言えるでしょう。
紫夏は最後に命を落としますが、昌文君との合流には成功しています。
紫夏にとって最も影響を与えたのが、紫啓であり生きる原動力にもなっていたのでしょう。
紫啓は本当に人格者なのか
紫啓は「恩恵は全て次の者へ」と述べて亡くなっており、人格者に思うかも知れません。
しかし、キングダムでの紫啓は闇商人という裏の顔も持っています。
そもそも人格者が闇商人などするのか?という問題も存在しているはずです。
個人的に思うのは、紫啓は「強きを挫き弱気を助ける」をモットーとした義賊に近い人物だったのではないでしょうか。
現在でも「思いやり」だけでは人を救う事が出来ず、時にはお金の力も必要とします。
キングダムの世界は春秋戦国時代であり、現在よりも遥かに劣悪な社会だったはずです。
こうした中で紫啓はヤバい商売も幾分かしていますが、人助けも同時にしていたという設定なのでしょう。
さらに言えば、紫夏は少年の嬴政を助けていますが、普通の商人であったなら、まず引き受けない様な任務となります。
こうしたヤバい仕事を手伝ってくれるのは、普通の商人ではなく闇商人となるはずです。
個人的には紫啓は義賊の様な闇商だったと感じました。