キングダム

紫夏の話は史実なのか

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宮下悠史

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名前紫夏(しか)
登場キングダム
養父紫啓
仲間江彰亜門
コメント闇商の女頭目で嬴政に送り届けた
画像キングダム公式ガイドブック英傑列記

紫夏は漫画キングダムに登場する架空の人物であり、嬴政の回想シーンに登場します。

残念に思うかも知れませんが、紫夏という女性を史記や戦国策などから見つける事は出来ませんでした。

物語の中の紫夏は元は江彰亜門らと共に孤児でしたが、商人の紫啓らに拾わて育てられました。

紫啓の後継者になったのが、紫夏であり卓越した手腕で闇商として財を築く事になります。

荘襄王の子である政(嬴政)にいましたが、道剣からに送り届ける任務を依頼されました。

江彰や亜門は難色を示しますが、紫夏は受ける事になります。

紫夏は亡霊に悩まされる政を救い命を賭して政を守りました。

最後は命を落としてしまいますが、多くの読者が涙を流したのではないでしょうか。

今回は紫夏の話が史実なのかやモデルになる人物がいたのかだけではなく、キングダムでも紫夏がどの様な人物だったのか合わせて解説します。

尚、紫夏は実写版映画キングダム運命の炎で登場し、紫夏役は杏さんが務めました。

紫夏の話は史実なのか

キングダムの紫夏の話は「趙の首都邯鄲にいた嬴政を秦に送り届ける」とする話です。

嬴政がキングダムの様に逃亡劇を繰り広げ、にまで辿り着いたのであれば、紫夏は登場しなくても、紫夏の様な人物はいた事になるでしょう。

さらに、で権力を握る呂不韋は元商人であり、商人仲間と繋がりあり、嬴政の脱出に手を貸す様に、商人たちに協力を求めた可能性は残っているはずです。

ここまで言っておいて、大変申し訳ないのですが、史記の呂不韋列伝には、次の記述があります。

※ちくま学芸文庫 史記 呂不韋列伝84頁より

秦の昭王は五十六年に薨じ、太子安国君が立って王となった。

華陽夫人を王后とし、子楚を太子とした。

趙は子楚の夫人と子の政を丁重に秦に帰した。

史記の呂不韋列伝を見る限りでは、キングダムの様な紫夏の様な逃亡劇は存在せず、むしろ趙は大国秦に気を遣い丁重に送り届けた事が分かります。

残念ながら紫夏の話は史実とは言えないでしょう。

さらに、キングダムではは趙で貧しい生活をした様に描かれていますが、呂不韋列伝を見ると子楚の夫人(政の母親・趙姫)は豪家の女だった記述もあり、比較的裕福な生活をしていた可能性もあります。

ただし、嬴政は趙を滅ぼすと邯鄲に乗り込み住民を穴埋めにした話もあり、何かしらの恨みはあったのかも知れません。

紫夏にモデルはいるのか

紫夏にモデルはいるのかですが、個人的には水滸伝に登場する小旋風の「柴進」なのかなと思った事があります。

柴進の「柴」の字と紫夏の「紫」の字は非常によく似ています。

それで、柴進の水滸伝の設定は高貴な顔立ちと面倒見の良さがあり、李逵を匿ったり多くの人を守ってきました。

それでいて柴進はならず者の集まりである梁山泊に身を寄せました。

柴進も単なるいい人ではなくならず者の要素があり、紫夏の闇商人と繋がる部分があると思った次第です。

勿論、柴進は後周の末裔という名門設定になっていますが、紫夏は孤児であり、さらには男性と女性という違いはあります。

原泰久先生でないと分からない部分ではありますが、紫夏にモデルがいたとしたら、水滸伝の柴進なのかなとも感じた次第です。

ここから先はキングダムでの紫夏の活躍を見て行きます。

キングダムの紫夏

初登場の紫夏

紫夏の初登場はキングダム8巻75話の「過去」という嬴政の回想シーンからです。

長平の戦いから9年が経ちの首都邯鄲から話は始まります。

の道剣は江彰亜門の二人と交渉を行いますが、道剣は計画の内容を話そうとせず、協力を求めた事で交渉は行き詰まりました。

ここで道剣と江彰らの交渉は揉める事になりますが、紫夏が現れ「私らは商人 熱くなるのは商売の話だけでしょうが」と窘めています。

紫夏は道剣が目的を言えないのは「事が大きく慎重になっている」からだと看過しました。

さらに、紫夏は秦の昭王が亡くなった事も知っており、太子の安国君が秦王になった事も知っていたわけです。

安国君の子で趙にいた子楚呂不韋に返した事も知っていました。

紫夏はかなりの情報通だったと言えるでしょう。

紫夏は道剣の役目は子楚の子の政を趙から脱出させ、秦に送り届ける計画だと見破りました。

道剣は計画を話し協力を取り付けようとしますが、紫夏は政に会ってから決めたいと告げています。

紫夏は「商人が運ぶ”品”を確認するのは当然」とも述べています。

単なるお人よしではなく、慎重さも紫夏は持ち合わせていたのでしょう。

政との出会い

の役人と亜門の間で喧嘩になりそうになりますが、ここで政(嬴政)が現れ「呪われた秦のクソだ!!」と罵られていました。

政は窃盗を行い大人の喧嘩となります。

この時に趙人は「長平で親父と兄キ二人を失った」と述べており、秦人の憎悪がに向けられていた事がわかるはずです。

道剣は剣を抜き政を助けようとしますが、紫夏は「彼等も少年が秦の人質だと知っている 命までは奪えない」と告げました。

紫夏は高い洞察力を持っている事も分かる言葉です。

趙人が政の腕を切り落とそうとしますが、ここで紫夏は「やめろ!!」と叫び「あなた達がやっていることは、秦人以下です」と堂々と言い放ちました。

大人たちが啞然とする中で、政は逃げ出し立ち去っています。

紫夏と月

夜になると紫夏、江彰亜門の三名はに届ける任務を受けるのかを話し合いました。

江彰は危険すぎると判断し、難色を示し道剣に断りを入れています。

しかし、紫夏は思う所があったのか、フラっと出かけると橋の下で寝そべっている政の姿を発見したわけです。

紫夏は「月がお嫌いですか」と話しかけ政が気付くと、「私も昔は嫌いでした」と語っています。

仲間の亜門や江彰は政や道剣に対し礼儀がない態度で接したりしますが、紫夏だけは礼儀がよく出来ている事が分かります。

紫夏は「苦しみのどん底で見上げる月は いつも以上に美しく輝いて見える」と語りかけ「まるで自分をあざけり笑っているかの様に」「まさに”ふざけんな”です」と続けました。

しかし、紫夏には月の見方が変わったターニングポイントがあり、養父が「月がいつも以上に輝いているのは、くじけぬ様に励ましてくれているのだ」と語りました。

紫夏の話を聞いていて政は素直な心になれたのか、昼間に助けられ片腕にならなかった事と月の秘密を教えてくれた事に感謝しました。

この後に政は家に帰る事になります。

闇商紫夏の仕事

家には道剣が待っており、を連れ去りました。

紫夏は江彰亜門に孤児だった自分達を養父の紫啓が救ってくれた事を話しました。

紫夏は迷うことなく政を助ける事を決め、江彰と亜門を納得させています。

紫夏は道剣の前に現れると「仕事を引き受ける」と述べ「”闇商紫夏”の名において、政様を秦にお届けします」と宣言しました。

からには関門を五つ超える必要があり、見つかれば首を跳ねられる死地の旅に出かけたわけです。

政は俵の中に隠れ秦を目指しました。

第一の関門

第一の関門である会安に到着しました。

道剣や家来たちは冷や汗が出ますが、紫夏ら闇商は涼しい顔でいました。

紫夏は「毎度」と述べると、簡単に関門を通過しています。

ここで亜門の解説が入り紫夏は家督を継いでから、紫商を倍に規模にしたと言います。

紫夏は「ホホホ商才商才」と言ってのけていますが、紫夏の才女ぶりが分かる話でもあります。

政の異変

満月の夜になりますが、紫夏はの前身がアザだらけだと気付きました。

の人々から政は暴行を受けており、アザだらけの体になってしまったわけです。

政は寝ますが、うなされて飛び起きました。

ここで紫夏は異変に気付きました。

政の痛み

紫夏の一行は第二の関門である青郭も潜り抜ける事に成功しています。

青郭にいた役人の茂英とは顔見知りであり、紫夏の顔の広さが分かる話にもなっています。

さらに、男に茶に誘われて言い寄られていますが、上手くあしらいました。

この時に関門の兵士が何を思ったのか俵めがけて矢を放っています。

紫夏は慌てますが、弓を射た兵士に文句を言いました。

しかし、俵からは血が流れており、政が負傷した事は間違いなかったわけです。

関門を通過した後に確認すると、俵の中のは手を射抜かれていましたが、泣きもせず平然としていました。

紫夏は政が明らかに他の子と違っており、紫夏は「この子の心身には何かが起きている」と確信に変わりました。

最終関門呂干

紫夏の一行は関門を次々に超え、最後の関門である呂干(ろかん)まで、もう少しの距離となります。

満月の夜に紫夏とは共に月を見ていました。

政は「時々、夢と現実の堺が分からなくなる」と話せば、紫夏は「紫夏がいる時は現実」だと憶えておくように伝えています。

政は紫夏に対して、心を開いているのが分かる話です。

最終関門の呂干も超える所で呼び止められ「一行の半数が見慣れない顔」だという事を疑われました。

紫夏は「人で不足で雇ったと答え、全然使えない」とも述べており、怪しまれずに通過しています。

紫夏の名演技でもあったのでしょう。

この直後に、の方で狼煙が上がり呂干の閉門が決まりました。

紫夏らはギリギリのタイミングで脱出に成功したわけです。

紫夏の一行ですが呂干の関門を抜けただけでははなく、と趙の国境である赤松の池まで辿り着く必要がありました。

紫夏らは、荷を捨てて身軽になり逃亡する事になります。

趙の方でも政がいない事に気付き追手を出しました。

ここからが過酷な逃亡劇となるわけです。

紫夏の喝

趙の関門を抜けており、道剣は「紫夏殿に救われた」と述べますが、紫夏はまだを救えたとは思っていませんでした。

政は長平の戦いの人々が多く亡くなった事で、恨みを一心に受けており亡霊に悩まされており、遂に発狂し馬車から降りて走り出してしまったわけです。

紫夏は政に追いつきますが、政は「秦へは帰れぬ」と告げました。

政は木片を腕に刺し貫通させますが「痛みがないんだ」と叫び「味」「匂い」「暑さ」「寒さ」も何も感じないと述べました。

政は「自分が壊れている」自覚があり「秦の王になれるわけがない」とうなだれる事になります。

の白起は長平の戦いで趙兵40万を生き埋めにしており、趙人の憎悪を政が一身に受けていたわけです。

政は暴力を受け、どうする事も出来ない絶望感もあり、紫夏は政が「長平の怨念を受け止めさせられていた」事に気が付きました。

政は「民を導く王になりたかった」とこぼすと、紫夏は「なれますよ!」と力強く言い放っています。

紫夏は「一緒に秦に帰りましょう」と諭すも、政は再び亡霊たちに悩まされる事になります。

ここで紫夏は「しっかりしろ!」「亡霊なんていやしない!!」「全部まやかしだ」「お前の前には私しかいない」「全部ただの幻だ」と喝を入れました。

紫夏は政を抱きしめますが「政の記憶の中で人に抱きしめられたのは初めてであった」とキングダムでは解説が入っています。

政は気絶しており、紫夏は馬車に連れ戻しています。

紫夏は政に「あと10歳若かったら妻になって一緒に贅沢~」や「妾かな~」と言ったりのろける事はありましたが、政にとって母親の様な強さを持つ女性でもあったのでしょう。

仲間の死

ここでの騎馬隊が紫夏の一行に迫る事になります。

紫夏が趙の騎馬隊に槍で突かれそうになりますが、亜門が身を挺して守り、そのまま逝きました。

紫夏は涙を流しますが、止まる事も出来ず前に進む事になります。

政は起きますが、既に紫夏の腕にも弓が刺さっており、苦しい戦いとなっていました。

趙の冬顔率いる騎馬隊の攻撃により諦めムードも漂いますが、政の心は蘇っており皆に「あきらめるな」と喝を入れています。

は紫夏の腕に止血を行いました。

こうした中で冬顔の一点総射により道剣が戦死し、窮地に陥りますが、紫夏は政に馬車の御を任せると自ら弓を持ち戦う事になります。

しかし、既に政を守るのは紫夏と江彰だけになっており、江彰も致命傷を受けました。

江彰は馬を返し趙兵に突撃を仕掛け戦死しています。

亜門と江彰は「三人の中で一番最後に死ぬのは紫夏」と約束しており、二人とも約束を果たしました。

紫夏は仲間の死に「ごめん。江彰 亜門」と涙を流しました。

この時点で紫夏は死を覚悟していたわけです。

紫夏の最後

紫夏は巧みに弓を使いますが、冬顔は天布に命じて矢を射させました。

天布の矢は紫夏の右腕に刺さり、紫夏は倒れ込みますが、には気丈にも「みるなっ」と告げています。

紫夏は再び弓を構え矢を放ちますが、傷が深くまともに射る事が出来なかったわけです。

政はその姿を見て「もういい そのままじっとしてろ」「頼むからじっとしていてくれ」と叫びました。

政としても、紫夏は仲間であり、これ以上の犠牲を出したくなかったのでしょう。

しかし、目の前に昌文君率いるの騎馬隊が近づいてきている事に気が付きました。

政の馬車はの騎馬隊に追いつかれますが、紫夏は剣を持って戦います。

紫夏は過去に養父である紫啓に助けられており、紫啓が亡くなる時に「恩恵は全て次の者へ」と告げました。

紫啓の言葉が紫夏の心の中にいつもあり、奮い立たせたわけです。

こうした中で目の前に昌文君や壁が率いる秦兵がやってきました。

趙兵は慌てて紫夏ではなく、政の命を狙います。

ここで紫夏は胸に槍を受けて倒れ込みました。

紫夏は息も絶え絶えとなりますが、冬顔は政への攻撃を諦めて撤退しています。

紫夏は役目を果たしただけではなく、政に恩恵を与える事が出来たと言えるでしょう。

紫夏は政の苦労が理解しており「貴方ほど辛い経験をして王になる者は他にいません。だから、きっとあなたは誰よりも偉大な王になれます」と励ましました。

政の顔に憑き物が落ちた事を確認すると、紫夏は最後を迎えたわけです。

紫夏の死亡シーンはキングダム8巻の81話「別離」です。

ここで嬴政の回想シーンは終わりますが「紫夏が息を引き取り、昌文君らと国境を超えた時に左手に激痛が走り痛みが戻った」と向に語り掛けました。

嬴政は「味覚」「嗅覚」全ての感覚が戻ったと述べており、亡霊は消え失せ人間としての感覚を取り戻したとも言えるでしょう。

紫夏は嬴政にとってかけがえのない恩人です。

紫夏の死に涙した人も多いのではないでしょうか。

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