爾波移（にはや）は百済への使者となる

爾波移は日本書紀の神功皇后の４６年に登場する人物です。

日本書紀の記録を見る限りでは、爾波移は斯摩宿禰の部下という扱いになっています。

爾波移は斯摩宿禰に従い百済の国まで行き近肖古王と面会した話があります。

百済の近肖古王は爾波移に褒美を与えるだけではなく、多くの財物を見せた話しがあります。

爾波移は百済から帰還し、斯摩宿禰と共に倭国に戻りました。

これにより倭国と百済の国交が樹立されたとも言えます。

百済への使者

爾波移は斯摩宿禰の従者となり卓淳国に行きました。

卓淳国の末錦旱岐は２年前に百済の近肖古王の使者である久氐、弥州流、莫古が訪れた事を話しました。

末錦旱岐の話を聞いていると、百済は倭国に対し敵意を持っているわけではないと考え、斯摩宿禰は従者の爾波移に百済に向かわせる事にします。

爾波移は過去（わこ）の二人を従え百済に向かいました。

この後に爾波移が近肖古王と面会している事を考えると、百済の首都である漢城まで行ったのでしょう。

爾波移は百済の近肖古王と会見を行いました。

近肖古王は爾波移が百済にやって来た事を知ると大いに喜びました。

当時の百済は北方の高句麗の圧力があり、倭国を味方につけたいと考えていたのでしょう。

近肖古王は爾波移らに五色の綵絹を各一匹、角弓箭、鉄鋌四十枚を与えるなど厚遇しました。

さらに、爾波移は宝物庫を開き珍奇な品を見せ、次の様に述べています。

※日本書紀より

近肖古王「我が国には多くの宝がある。

この宝を貴い国に奉ろうと思っても道が分からない。

気持だけがあっても願いは叶わないが、使者殿に託し献上しようと思う」

近肖古王は爾波移に宝物を日本に献上したいと述べた事になります。

近肖古王としてみれば、宝物を倭国に贈り友好を結ぶだけではなく、百済の国力を爾波移に見せつけておきたかったのでしょう。

百済は日本の協力を求めるだけではなく、百済の威厳も保ちたかったわけです。

爾波移は卓淳国にいる斯摩宿禰の元に戻りました。

この後に、斯摩宿禰と爾波移は倭国に戻り神功皇后に百済の事を報告したのでしょう。

爾波移が百済を訪れた事で、日本と百済の国交が樹立される事になります。

古代日本では三韓征伐など朝鮮半島で激闘を繰り返しますが、倭国と百済は長く共闘関係にありました。

それを考えれば、爾波移の外交が歴史を動かしたとも言えそうです。