
| 名前 | 絺疵(げきし) |
| 生没年 | 不明 |
| コメント | 晋陽の戦いで韓と魏が寝返ると進言した。 |
絺疵は戦国策に登場する人物で、智伯に仕えました。
晋陽の戦いで智伯は勝利の目前まで行きますが、絺疵は韓と魏が寝返ると進言しています。
絺疵は韓康子と魏桓子の態度から「裏切る」と考えていましたが、智伯は受け付けませんでした。
身の危険を感じた絺疵は、斉への使いになると申し出て戦場を離脱する事になります。
晋陽の戦いでは、絺疵の言った通りの展開となり韓と魏は趙に寝返りました。
絺疵は戦場を離脱していた事で、命が助かったと言えます。
尚、戦国策の趙策での最初の話が絺疵が智伯に「韓や魏が寝返る」と忠告した話になっています。
絺疵は表情で心情を察す
趙襄子の頑強な抵抗もありましたが、智伯は、城を水攻めにし晋陽の戦いの勝利が見えてきました。
こうした中で絺疵は智伯に「韓と魏の君主は趙に寝返るに違いない」と進言する事になります。
この時の韓と魏の君主は韓康子と魏桓子であり、二人は「我らを裏切る」と絺疵は進言したわけです。
智伯には絺疵の言っている意味が分からず、聞き返すと絺疵は次の様に応える事になります。
※戦国策 趙策より
絺疵「寝返る事は、その様子で分かります。
現在の我が軍は韓と魏の軍を従えて、趙を攻めております。
しかし、韓や魏の君は『趙が滅びれば禍が自らに降りかかる』と思っているのです。
趙が滅びれば土地を三分割する約束となっており、晋陽の城内では水攻めに苦しめられ、臼や竈には蛆が湧き、人馬を食べて飢えを凌いでいます。
落城が目の前に迫っているのに、魏や韓の君には喜色が見られず、憂色が見られます。
これが寝返ると言わずして、なんと言いましょうか」
絺疵は韓康子と魏桓子が土地が手に入る直前にいるのに、顔色が悪い事を考え裏切ると考えたのでしょう。
後の展開を考えると、絺疵の読みは当たっていたと言えます。
態度で人を見抜く
翌日になると、智伯は韓康子と魏桓子を呼び出し、絺疵が伝えた事を述べました。
韓康子と魏桓子は「利益が目の前にあるのに信義に欠ける行いをするはずがない」と述べ否定し「絺疵は趙の為に図っている」と伝える事になります。
絺疵にとってみれば、智伯は余計な事をしたと言えるでしょう。
普通に考えて「裏切り」を考えていても、本人に訪ねられて「裏切るつもりだ」という人はいないはずです。
韓康子と魏桓子は智伯の陣門を小走りで出ますが、ここで絺疵に遭遇しました。
絺疵は韓康子と魏桓子の態度を読み取り、智伯に面会すると「手前の申した事を、なぜ韓や魏の君に伝えたのですか」と聞くと智伯は「どうしてわかったのだ」と聞き返される事になります。
絺疵は「韓と魏の君が私をはばかり、大急ぎで駆け出して言ったからです」と答えました。
韓康子と魏桓子が絺疵を警戒する様子を見て、絺疵は智伯が「昨日の進言を二君に伝えた」と知ったのでしょう。
戦国策の絺疵の話からは、既に趙の張孟談の誘いで韓と魏が寝がえりを約束したのか、ただ単に「趙が滅亡すれば自分達が智伯に滅ぼされる」と憂慮していたのかは、不明です。
しかし、最終的に韓康子と魏桓子は趙に寝返る事になります。
絺疵の予感は的中しました。
絺疵の離脱
智伯は韓と魏が寝返るとは思っておらず、絺疵には滅ぼされる未来が見えていたと言えます。
ここで、絺疵は斉への使者に立ちたいと述べました。
智伯も「煩い絺疵がいない方がやりやすい」と考えたのか、斉への使者を許す事になります。
絺疵は斉に向かい戦場から離脱しました。
この後に、智過も韓康子と魏桓子が裏切ると進言しますが、智伯は進言を退けています。
しかし、韓康子と魏桓子は張孟談の誘いに乗り趙に寝返り、智伯は討ち取られ晋陽の戦いは勝負を決しました。
絺疵や智過は戦場を離脱した事で、命が助かったのでしょう。
ただし、この後に絺疵がどの様になったのかは記録がなく分かっていません。
命は助かっても、魏桓子や韓康子に不利になる様な事を進言しているのであり、晋の地にはいられず斉辺りで暮らしたのかも知れません。