范方は正史三国志に登場する人物であり、公孫瓚配下の武将だった事が分かっています。
ただし、范方の出身地や生まれた年などは分かっていません。
三国志演義には登場しません。
公孫瓚は一時は北方でかなりの力を持っており、袁紹を圧倒していました。
公孫瓚は兗州刺史の劉岱を味方に付けようと考えたのか、従事の范方に兵を与え劉岱を援助しています。
范方が正史三国志で登場するのは、劉岱に対し騎兵を率いて助けにいった事だけです。
范方の記述は程昱伝にあり、それ以外には存在しません。
今回は正史三国志に名前が挙がる范方を解説します。
劉岱を助ける
袁紹は曹操や臧洪と共に反董卓連合を結成しますが、董卓が長安に遷都すると連合軍は解散しました。
これにより袁紹と公孫瓚が対立する事になります。
この時に袁紹は妻子を劉岱に預け、公孫瓚は従事の范方に騎兵を与え劉岱を助けさせる事にしました。
劉岱としては袁紹と公孫瓚のどちらに味方しようかで悩む所だったわけです。
公孫瓚は最初は袁紹を相手に優勢に戦いを進め、劉岱には袁紹の家族を寄越す様に依頼しました。
さらに、公孫瓚は范方に対し、次の様に述べています。
※正史三国志 程昱伝より
もし劉岱が袁紹の家族を送って来ないならば、其方（范方）は騎兵を引き連れて帰還せよ。
儂が袁紹を倒せば、劉岱に出兵する事に致す。
公孫瓚の考えでは、劉岱が自分に味方しなければ、范方に北方に戻って来るようにと命じた事になります。
さらに言えば、公孫瓚の范方への命令から、袁紹を併呑した後に劉岱を滅ぼそうとしている事が分かるはずです。
北方に帰還
劉岱としては、公孫瓚に味方しなければ范方は北方に帰って軍事力の低下を招くし、かといって袁紹は汝南袁氏の名門であり高い名声があり、脅威だと考えていたのでしょう。
劉岱は臣下達と議論しますが、決心する事が出来ず王彧の進言により、程昱に相談しました。
程昱は「遠くの公孫瓚よりも近くの袁紹に味方すべき」とする策を出し、劉岱が実行した事で范方は北方に戻る事になります。
范方は北方に帰還しますが、この最中に公孫瓚が袁紹に大破されたと正史三国志にあります。
これを考えると范方が北方に向かっている最中に、界橋の戦いで麹義の活躍もあり、公孫瓚が大敗したという事でしょう。
界橋の戦いまでは公孫瓚が優先でしたが、ここから先は袁紹が優勢となりました。
范方は北に向かいましたが、公孫瓚と合流したのかは不明であり、ここから先は記録がなく分かっていません。
