名前 | 寧姫 |
別名 | 寧、寧様、寧公主など |
登場 | キングダム |
父親 | 王安王 |
コメント | 民を思う韓の公主 |
寧姫は漫画キングダムに登場する架空の女性です。
キングダムの寧姫は「かわいい」容姿と共に、気の強い女性として描かれています。
残念ながら寧姫は史記や戦国策には登場せず、史実の人物ではないでしょう。
父親の王安王は頼りない人物に見えますが、寧姫はアクティブな女性として描かれています。
韓非子を師として仰ぐ女性として登場し、英呈平原の戦いでは騰の要請に従い会いに行きました。
寧姫と王安王の決断が新鄭の無血開城となり、韓の歴史に幕を降ろす事になります。
寧姫の初登場
寧姫の初登場はキングダム69巻の第757話『三晋の都』です。
秦は韓非子を招く為に、韓に介億、騰、李信、録嗚未らを派遣しました。
韓の王都新鄭に入ると、兵を引き連れた一人の女性が立ち塞がる事になります。
これが寧姫です。
寧姫は「韓非先生は秦へは参りません。お帰りください」ときっぱりと言い放ちました。
録嗚未は文句を言いますが、寧姫は一歩も引かない態度で応酬しています。
寧姫の態度を見て多くの読者が「じゃじゃ馬娘」「気が強い女性」などと思ったのではないでしょうか。
騰は「困りましたな 私は録嗚未と違って 女を斬らない」などの言葉を残しています。
寧姫は「遠慮は無用 私を斬れば破談となり 私の目的は達成される」と引かない態度を継続しました。
ここで韓の洛亜完とヨコヨコが割って入り寧姫は退場させられています。
これが初登場の寧姫ですが、騰との出会いの場でもありました。
寧と騰
韓非子は車に乗り込みますが、寧姫は「先生をどうぞ宜しくお願い致します」と騰に対し深々と頭を下げました。
ただし、寧姫らしく「先生に万が一の事があれば、絶対に許しませぬ」とも述べています。
騰は韓非子が韓の朝廷では孤立していた事を訪ねると、寧姫は韓は儒家の色が濃く韓非子が腫れ物扱いされていると答えました。
ここで寧姫も法家だという事が明らかになります。
この後に李信とも言い合いになりますが、洛亜完が割って入り騰は去り際に「姫をたのむぞ洛亜完」と述べました。
騰は寧姫に何かしらのものを感じ取っており「その方だけが必死であった そういう人は守らねばならん」と告げています。
この時点で騰は寧姫に対して深い思いがあった様に見えます。
韓秦開戦
秦は番吾の戦いで李牧に敗れますが、昌平君の考えで戸籍を作るなどし兵を補填し韓に侵攻してきました。
韓の朝廷では張宰相が中心となり、洛亜完も参加し軍議が開かれますが、寧姫も参加しています。
この後に秦は新鄭に向かって進撃しますが、洛亜完、ヨコヨコ、博王谷らが英呈平原で迎え撃つ為に城を出る事になります。
寧姫は「どうかご武運を洛亜完・・」と述べ韓軍を見守りました。
寧姫は洛亜完をかなり信頼していた事が分かる場面でもあります。
それと同時に寧姫は騰の事も思い出していました。
騰からの伝言
韓軍19万は英呈平原に向かい出撃しましたが、南陽にいた条世が秦の使者である関孫と共にやってきました。
条世は新鄭の無血開城を勧めますが、張宰相の怒りを買って関孫と共に投獄されています。
しかし、条世は寧姫に目配せをし合図を送りました。
寧姫の真の目的は騰の伝言を寧姫に伝える事だったわけです。
条世は騰が「寧姫に秘密裡に英呈平原まで来て欲しい」と述べていると伝言しました。
騰は「韓の民を救えるのは寧様だけである」とも条世は伝えています。
寧姫は条世の言葉に考えさせられますが、側近の韓鄒に英呈平原に向かうと告げました。
騰との会見の場所は英呈平原の戦いが行われている秦と韓の中間地点になっています。
ここで寧姫は騰が秦と韓の和平交渉を行うのだと考えました。
寧姫はもしも時の為に万全の準備を行い三十人ほどで、英呈平原に向かう事になります。
寧姫は韓を救う会談になると考えていたわけです。
寧と騰の英呈平原
騰との再会
英呈平原の戦いが始まりますが、騰は本陣を離れ秦軍と韓軍が激しく戦っている近辺に現れ、寧姫と会見を行う事になります。
騰は丁寧に出迎えますが、寧姫は騰の顔面にピンタを入れています。
寧姫は韓非子を死なせた事への「仕返し」だと告げました。
ここからも寧姫の気の強さが分かる話でもあります。
寧姫は和平交渉を行おうとしますが、騰は「秦は韓が滅びるまで全力で攻撃を続ける」と述べ、韓の力では止められないと告げました。
洛亜完が良将だとしても、何度でも秦は攻撃し韓では防ぎきる事は出来ないと伝えたわけです。
しかし、騰は韓は救えなくても韓の民は救う事が出来ると述べました。
韓兵らは「韓が滅びれば民は奴隷となる」と声を荒げますが、騰は「新鄭に暴虐を働く者がいれば、秦王であっても この騰が斬り捨てる」とまで言い放っています。
寧姫は騰の覚悟を察し聞くと「新鄭を無血開城して頂きたい」と語り掛けました。
騰は「韓の民をお救い下さい」と頭を下げる事になります。
寧姫は韓の歴史が滅べば韓人ではなくなり、魂は失われてしまうと述べ、新鄭の無血開城を拒否しました。
立場と胸の内は同じではない
徹底抗戦を宣言しますが、騰は無理やり寧姫を連れ出し、戦場を見学させる事になります。
英呈平原の戦いの壮絶さに寧姫は吐いてしまいますが、騰は自分は軍人なので「命令通りに戦うだけです」と告げました。
それと同時に騰は「戦争を始めることも終わらせる事も出来るのは王族だけです」とも伝えています。
戦争を終わらせる事が出来るのは王族だけというのが、騰が寧姫に伝えたかった事なのでしょう。
キングダムの王安王は優柔不断な人物として描かれており、決断できるのは寧姫だけだと騰はみていた事になります。
それと同時に騰は「民のことを第一に必死に考える者」として寧姫を見ていました。
騰は寧姫を尊重し応援していると告げており、寧姫は「敵なのに応援」する意味が分からなかったわけですが、騰は「立場と胸の内は同じではない」事を告げています。
騰は寧姫に別れを告げると崖を降りて干央の軍に合流しました。
寧姫は戦場を後にする事になります。
英呈平原の戦いは博王谷が討たれて、洛亜完はヨコヨコの進言もあり撤退しました。
東砂平原の戦いでも韓軍は敗れて新鄭まで兵を退かせています。
寧姫と太伯座
新鄭に秦軍が迫るとする情報がもたらされると、韓の朝廷は大荒れとなり張宰相の責任問題にまで発展しました。
韓の王族の太座伯は新鄭を脱出する様に告げ、華重家も楚の奈武に行くと宣言しています。
寧姫は王族なのに民を守らず自分だけ助かろうとする事を咎めますが、太座伯に一喝されました。
太座伯に凄まれると寧姫は口を閉ざすしか出来ませんでした。
この辺りは気が強くても、女性だという事なのでしょう。
朝廷は纏まらず言い争いとなると今度は寧姫が大臣達を一喝しました。
寧姫は新鄭が一致団結する事を告げますが、城内では暴動が起きているとの情報が届く事になります。
ここで軍議が終わりました。
寧姫と夏侯龍の対立
寧姫は新鄭が陥落し民たちが虐殺され、自分を恨む夢を見て飛び起きました。
ここで韓では第一級非常事態宣言を発動し、夏侯龍が治安維持軍を率いて、暴動を無理やり抑え込みました。
夏侯龍は五歳以上の子供まで徴兵し、総力戦で秦と対峙する事を告げています。
寧姫は猛反対し洛亜完の軍も戻って来ると告げ、子供まで徴兵するのに反対したわけです。
寧姫は主戦派ではありましたが、子供まで戦わせ無駄死にさせるのには反対でした。
ここで寧姫は韓の民が全滅する前に「降伏する」と口を荒げています。
寧姫は韓の国よりも大事なのは、民衆だと皆に告げた事になるでしょう。
ただし、寧姫の「降伏発言」に朝廷は衝撃が走りました。
張宰相は王安王に決断を求めました。
決断できない王安王
寧姫は民たちから慕われており、安紅、李寿らが説明を求める事になります。
民たちは夏侯龍の憲兵を畏れ不安を口にしました。
さらに、飛信隊や騰の軍が野蛮ではない事も口にし、子供が兵士として徴兵されるのに反対しています。
寧姫は決断できずにいましたが、ここに洛亜完が新鄭に戻ってきました。
夏侯龍は王安王に士気が上がっていない事を告げて「決意を示す様に」と伝えますが、王安王は態度を保留にしています。
王族としての役割
王安王は休憩に入りますが、寧姫は後を追うと洛亜完に出会いました。
ここで寧姫は首だけになってしまった王族の弁伯らの姿を見て驚く事になります。
寧姫は洛亜完に「ここで韓が滅んだら英呈平原の戦いや東砂平原の全て無駄になってしまうのか」と問いました。
洛亜完は言葉に詰まりました。
寧姫は「両平原で亡くなった者たちは国の為に散ったのか、民を守るために死んだのか」と問いますが、洛亜完は両方だと答えますが、死に際は「家族を守る為」と答えています。
洛亜完は城壁守備に戻ると言い「役割を全うする」と述べ「寧様も役割と全うする様に」と伝えて去りました。
洛亜完も騰と同様に軍人であり、自分の役割を全うする為に動いている事が分かりますし、寧姫も王族でしか出来ない役割を全うする様に伝えた事になるでしょう。
韓の滅亡において寧姫は「役割」を深く認識させられる事になったと言えます。
王安王の苦悩
寧姫は王安王の元に行くと、王安王はお茶を飲んでいました。
王安王は自分は「普通の人」だと話し、寧姫の母親が新鄭一の美人だった事も明かされています。
母親は早くに病死し、寧姫が嫁ぐ事になった時には、涙を流したと伝えました。
ここで読者は「寧姫は夫がいたのか」と思ったかも知れませんが、寧姫が嫁ごうとした者は二人とも亡くなってしまったと言います。
お陰で寧姫は「呪われた公主」と呼ばれ、嫁ごうともしませんでした。
多くの読者がここで「だったら騰と結ばれる事も可能では」と思ったはずです。
王安王は英呈平原の戦いで寧姫が騰と会い「新鄭の無血開城」を持ちかけられた事も知っていました。
秦に徹底抗戦した場合に、王安王は民を何処まで死なせるかや、韓百七十年の歴史を終わらせる事に悩んでいたと明かしています、
それと同時に秦の王である嬴政が蕞の戦いでやった様に、一般市民を兵士と化し、その半分を犠牲にする様な事は出来ないとも涙ながらに語りました。
王安王は自分が決断できない事を本気で悩んでいたわけです。
こうした中で秦軍がやってきて、新鄭の城への攻撃準備を始める事になります。
東龍の鐘
新鄭の子供兵らは秦軍に圧倒され恐怖を覚えました。
騰は新鄭の攻撃準備が整っていきますが、攻撃の合図を中々出そうとせず、その間に寧姫は「東龍の塔」に向かっていました。
洛亜完やヨコヨコなど兵法が分かっている者は「すぐに攻めない理由はない」と述べますが、騰は寧姫や王安王の決断を待っていたわけです。
それでも、騰の方も井闌車を前に出し、攻撃命令をいつでも出せる状態にまで持っていきました。
寧姫は東龍の塔に辿り着く事になります。
寧姫は全力で走り体も息切れし辛くなっていきますが、塔の頂上に向かい走ったわけです。
騰の「戦争を始められるのも、終われるのも王族だけ」とする言葉を思い出し、東龍の塔の頂上に向かいました。
東龍の塔には「東龍の鐘」があり、これを鳴らせば韓の降伏が決まり歴史に幕を降ろす事になります。
騰の方でも決断を待っていましたが、東龍の鐘は中々鳴らなかったわけです。
寧姫は鐘を鳴らすのにためらいますが、王安王が現れ共に手を取り鐘を鳴らしました。
この瞬間に新鄭の無血開城が決定しました。
王族が韓の降伏を決断した瞬間でもあります。
韓の降伏の鐘が鳴り響いたとも言えるでしょう。
騰は新鄭への攻撃を取りやめ韓の東門を守る張印は、騰に降伏の意を伝えました。
新鄭の無血開城の後始末
新鄭の中に秦軍が入りますが、韓の降伏を良としない者達は洛亜完の元に集まりました。
ここで寧姫が騰軍と洛亜完の間に入りますが、頭に血が昇った兵士達は寧姫の言葉に耳を貸さなかったわけです。
寧姫は民たちを救う為に王族が降伏を決断し、従って貰おうしましたが、兵たちの息は荒く寧姫にまで危害が及ぶ直前となりました。
洛亜完は「立て直す」と述べて、韓の主戦派を連れて城を出る事になります。
「立て直す」の言葉は虚言であり、洛亜完の真の目的は韓の不満分子を外に出し、円滑に新鄭の降伏が認められるためでした。
洛亜完もまた韓の為を思い動いたと言えるでしょう。
これにより韓の滅亡が完全に決まりました。
洛亜完が荒ぶる兵を連れて外に出る姿を、寧姫は涙を流し見守りました。
それと同時に、騰が声を掛けますが、疲れがドッと来たのか倒れています。
王安王は朝廷に現れると、主戦派の夏侯龍が徹底抗戦を主張しましたが、王安王は「斬れ」と命じました。
夏侯龍もいなくなり、王安王は張宰相に降伏の手続きを依頼しています。
無血開城後の新鄭
寧姫は韓が滅亡すると、ぼんやりと侍女たちと眺めていました。
そこで、自ら城壁から飛び降りて命を落とす者を目撃する事になります。
寧姫はショックを受けますが、さらに洛亜完が蘭城の外で戦いに敗れて全滅した事を聞き嗚咽しました。
寧姫は民の為を思って降伏を決断したはずなのに、犠牲者が出ている事にショックを受けてしまったわけです。
韓は降服を決断しましたが、全ての民が秦人として生きる道を歩んだわけではありませんでした。
寧姫の懺悔
翌日に寧姫が、またぼんやりと外を眺めていると、騰が現れました。
寧姫は騰に「人は死んだらどうなると思いますか」と問いかけています。
寧姫は自分の事を韓の国を終わらせた悪女として歴史に名が残るとしますが、騰は「韓の民衆を救った聖君の行動」だと伝えました。
洛亜完の軍が全滅したのも多くの民が命を絶ったのも、寧姫は自分の責任だとし罪の意識に苦しんでいたわけです。
ここで騰は善人・悪人関係なく人は死んだら「ただただ暖かい光となり 天まで連なる巨大な光の柱となり 我らを照らす」と告げています。
騰の言葉を聞いた寧姫は思う所があったのか、城壁の上に登り身を投じました。
これが寧姫の懺悔でもあったのでしょう。
寧姫は罪を背負って城壁の上から飛び降りますが、騰は寧姫を追い飛び降り救ったわけです。
ここで騰は寧姫に「一生涯を掛けて、貴方様を支えます」と告げています。
騰の言葉はプロポーズの様にも見えた読者の方々も多いのではないでしょうか。
騰の六将引退
秦の首脳部である昌平君や李斯が新鄭に到着しますが、騰は昌平君に皆を集めて軍議を開く様に要請しました。
昌平君は趙の李牧を倒すと熱弁しますが、ここで騰も皆に言いたい事があると告げています。
騰は録嗚未、隆国、干央、河了貂、羌瘣、李信の名を呼び韓攻略の礼を言いますが「私はここで一度剣を置こうと思う」と述べ、六将の引退を宣言しました。
騰は「寧姫を支えながら生きて行く」と告げたわけです。
ここで羌瘣は騰の背骨が曲がっている事に気が付きました。
録嗚未らは寧姫を救った時に体に異変が起きた事に気が付きますが、騰は否定しました。
それでも、騰は六将を引退し寧姫を支える決断をした事になるでしょう。
秦軍を見守る寧姫と騰
飛信隊に韓のヨコヨコが加わり、秦軍は韓を攻撃する為に新鄭を出ました。
寧姫と騰は出陣する秦軍を見守る事になります。
寧姫は「騰も本当は軍に加わりたかったのではないか」と考えますが、騰は旧韓領である潁川郡を治める事も重要だと説きました。
尚、騰と寧姫が結婚するのかという憶測もあると思いましが、現時点では正式に結婚したなどの描写はありません。
ただし、騰の匂わす様な発言は多く見られています。
今後の予想
キングダムの今後を予想しますが、第845話「閼与の軍勢」で、昌平君が韓王室を残す事を強く主張した話が出てきます。
ここで昌平君は韓王室を残した事で大きな反乱が起きれば、自分が全責任を問うと伝えました。
史記の始皇帝本紀の始皇二十一年(紀元前226年)に次の記述が存在しています。
※史記始皇本紀より
新鄭で反乱が起きた。
キングダムで新鄭は無血開城しましたが、この後に新鄭で反乱が起きる事になっているわけです。
反乱の首謀者が誰なのかは不明ですが、キングダムでは寧姫と関わらせてくる事も十分に考えられるのではないでしょうか。
しかも、その後に昌平君が郢に移ったとあり、責任を取り楚に出奔した事も十分に考えられます。
騰も睡虎地秦簡では楚の旧都である郢に近い地域にいた事が分かっており、この後の展開を楽しみにしています。
個人的には寧姫と口論になった太座伯が、韓の復興を考えて乱を起こすなどの展開もあるのかなとは感じました。