名前 | 如姫(じょき) |
生没年 | 不明 |
勢力 | 魏(戦国) |
時代 | 戦国時代(中国) |
如姫は史記の魏公子列伝に登場する人物で、魏の安釐王に最も寵愛された女性です
如姫は信陵君に恩があり、魏の安釐王を結果的に裏切りますが、信陵君への恩返しを優先させた女性でもあります。
尚、信陵君は魏の将軍・晋鄙の兵権を奪い趙を救いますが、如姫の活躍が無ければ、趙を救えなかった可能性も高いと言えます。
それを考えると、滅亡寸前の趙を救ったキーマンの一人が如姫だったとも言えるはずです。
如姫は義理堅い女性でもあったのでしょう。
父親の仇
如姫の父親は何者かに殺されてしまいます。
如姫は父親の仇を討とうと私財を投入し、犯人を捜しますが、見つける事が出来ませんでした。
如姫は魏の安釐王に寵愛されていた事もあり、安釐王に頼んだり魏の百官に犯人の捜索を依頼しますが、犯人を見つける事が出来なかったわけです。
そこで、如姫が泣きついたのが信陵君であり、信陵君は食客を使い犯人を見つけ出し、首を斬り如姫に進呈しました。
これにより如姫の敵討ちは成し遂げられ、信陵君に大恩が出来ます。
尚、信陵君は食客を通じて趙王の動向を監視していた話しもあり、魏の安釐王を超える情報網を持っていた話があります。
信陵君だからこそ、如姫の願いを叶える事が出来たのでしょう。
王の虎符
趙は長平の戦いで秦の白起に大敗北を喫し、首都の邯鄲も包囲されてしまいました。
邯鄲籠城戦では、趙の孝成王や平原君は必死に防戦しますが、旗色は悪く趙の滅亡が見えて来た状態だったわけです。
こうした中で、魏の安釐王は将軍の晋鄙を趙に差し向け、趙の救援に向かわせますが、秦の横やりが入った事で、魏の安釐王は晋鄙の軍を趙との国境である鄴で停止命令を出しました。
信陵君の姉が趙の平原君の妻だった事もあり、信陵君は趙を救いたいと考えていました。
信陵君は食客を使ったりし、兄の安釐王を説得しますが、全て失敗に終わります。
信陵君は魏の安釐王を動かす事は不可能だと考え、自らの食客を引き連れて独力で趙の援軍に向かう事となります。
この時に侯嬴が信陵君に「魏の正規軍を動かさなければ勝つ事は出来ぬ」と諭し、策を与えました。
侯嬴は信陵君に如姫に、魏王の寝室にある虎符(割符)を盗んで貰う様に、請うべきだと述べます。
侯嬴は如姫が信陵君に恩を感じている事を知っており、如姫の頼むべきだと言ったわけです。
信陵君は侯嬴の策に従い如姫に、魏王の寝室に行った時に兵を動かせる虎符を持ってくるようにお願いしました。
如姫は信陵君の言われるがままに、魏の安釐王の寝室から虎符を盗み出し、信陵君に渡しました。
如姫の行動は安釐王からしてみれば裏切り行為でもありますが、そうまでしてでも如姫は信陵君への恩を返したかったのでしょう。
信陵君は朱亥を連れ鄴にいる晋鄙の陣を訪れました。
晋鄙が信用せず
信陵君は如姫が盗み出した虎符を持ち、晋鄙の陣を訪れ指揮官の交代を告げます。
しかし、晋鄙は信陵君を怪しみ、魏王に確認の為の使者を出そうとしました。
この時に、信陵君は朱亥を使い、晋鄙を撃ち殺してしまったわけです。
信陵君は晋鄙の軍権を奪い、そのまま魏の正規軍を率い趙へ向かいます。
趙の平原君の方でも毛遂の活躍もあり、楚の援軍を引き出しており、春申君も趙へ到着した事で、秦は邯鄲を包囲し続ける事が困難となり、撤退しました。
信陵君は趙を見事に救う事に成功したわけです。
話を戻しますが、如姫が盗み出した虎符を見せても晋鄙は信用せず、結局は朱亥が晋鄙を殺害しています。
これを見ると如姫の虎符は必要なかったのではないか?と思う人もいるかも知れません。
しかし、虎符を見せずに、いきなり信陵君が晋鄙を殺害した場合は、周りの兵士が従わなかった可能性が高い様に思います。
信陵君は如姫が手に入れた虎符を見せた事で、軍令違反により晋鄙を処刑した呈に出来たわけです。
それを考えると、如姫の果たした役割は大きく、如姫がいなければ信陵君は魏軍を率いて趙を救う事が出来なかった可能性が高い様に感じました。
尚、如姫に関する記述は、信陵君に虎符を渡した所で途切れており、その後にどうなったのかは分かりません。
魏の安釐王が、如姫を許したのかどうなのかも分からない状態です。
しかし、侯嬴が自刃している事を考えると、侯嬴が全責任を被り、如姫は処罰されなかった様にも感じました。
尚、信陵君にしっかりと恩を返した如姫もまた烈女と呼べるのかも知れません。