古代日本 日本神話

因幡の白兎は古事記に登場する昔話

2022年2月1日

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宮下悠史

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名前因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)
登場古事記、出雲風土記
隠岐→因幡
生没年不明
コメントサメ(ワニ)を騙すが毛をむしり取られ八十神に騙されるも大国主に助けられる

因幡の白兎の話は、古事記に登場する神話です。

何故か日本書紀には因幡の白兎の話がありません。

因幡の白兎はずるがしこい兎が、酷い目に遭いますが、兎は大国主に助けられます。

助けられた白兎は、大国主がヤガミヒメと結婚する事を予言しました。

因幡の白兎は後に、兎神として白兎神社などに祀られる事になります。

今回は古事記にあり、日本神話として昔話にもなっている因幡の白兎を解説します。

尚、因幡の白兎の話でワニという言葉が登場しますが、実際にはワニサメだった話もあります。

ワニがサメになってしまう理由ですが、鳥取県の付近にはワニがいなかったとも考えられているからです。

しかし、近年、日本にもワニがいた時期があった事も分かって来ました。

ここでは、古事記の記述に添いワニの記述で話を進めていきますが、東南アジアでも似た様な神話があり、そちらは全てワニとなっています。

サメではなくワニだったとする根拠なども解説に含みました。

因みに、フリーイラストで有名なイラストやさんでは、因幡の白兎がワニとサメの二つのバージョンがありました。

さらに言えば、大国主とウサギの画像も存在しています。

この辺りはいらすとやさんの凄さだと感じています。

ワニ(サメ)を騙す

隠岐の島に白兎が住んでいたわけです。

尚、古事記の記述では白兎ではなく「素兎」との記述になっていますが、ここでは多くの訳し方に従い白兎で話を進めます。

白兎は対岸にある因幡の国に行きたいと考えます。

隠岐の白兎が、因幡の白兎になろうと考えたのかも知れません。

しかし、白兎は泳ぐことも出来ないので、路頭に迷いました。

ここで白兎は名案を思いつき、ワニを利用して因幡に行く事を考え出します。

白兎はワニを見つけると、次の様に述べます。

白兎「ワニ族とウサギ族で、どちらが数が多いか数えてみようじゃないか」

白兎の言葉にワニも興味を持ったのか、数を数えてみる事になりました。

しかし、ワニは自分達が何匹いるのか分からず、数える方法が分からなかったわけです。

ここで、白兎は次の様に提案しました。

白兎「ここから対岸にある因幡まで、ワニ族が一列に並んでくれれば、私がワニ族の上に乗り数を数える事にしよう。」

白兎の言葉にワニ達は納得し、一列に並び因幡までのワニの橋が出来たわけです。

ワニに皮を削がれる

白兎はワニ達を騙して、橋を作らせて因幡に向かいました。

しかし、ここで白兎はミスを犯してしまいます。

白兎はもう少しで因幡に辿り着く所で、ワニ達に次の様に言います。

白兎「自分は隠岐から因幡に行きたかったから、ワニ族を騙したんだよ」

自分達が騙された事を知ったワニ達は激怒し、一匹のワニが白兎に襲い掛かり、皮をむしりとってしまいます。

もちろん、白兎は皮をむしりとられた事で、激痛が走り海岸でのたうち回っていました。

白兎は因幡に上陸し「因幡の白兎」となる事は出来ましたが、苦難が訪れます。

八十柱の嘘

(画像:白兎海岸)

因幡の白兎は苦しんでいましたが、そこに出雲の八十柱の神々が通りかかりました。

八十柱の神々は、まとめて八十神とも呼ばれています。

八十神らは求婚する為に、因幡のヤガミヒメの元に向かう途中でした。

白兎は八十神らに助けを求めると、八十神らは次の様に述べます。

八十神「体に海水をしっかりと浴び、高い山の尾根で風にあたれば、傷は直ぐに治ります。」

白兎は八十神らの言う事を信じ、海水を浴びて高い山の風にあたったわけです。

しかし、八十神の述べた事は全て嘘であり、白兎の傷は余計に悪化しました。

ここで白兎は痛みに耐えながらも、何とか元の海岸に戻ります。

大国主のアドバイス

白兎の前に大国主が現れました。

大国主は八十神の荷物運びをしており、八十神達から大きく遅れて因幡を目指していたわけです。

大国主は白兎に「何があったのか?」と聞かれると、ワニ達との経緯や八十神らの嘘を話しました。

白兎の話を聞いた大国主は次の様に答えます。

大国主「河口に行き真水で体を洗い流し、蒲の穂の上でゴロゴロと転がれば傷が治るはずだ。」

これを聞いた白兎は、大国主の言葉を信じ、忠実に実行しました。

すると、因幡の白兎の体はみるみると良くなり、傷も治る事になります。

因幡の白兎の予言

因幡の白兎は、大国主の元に戻ると感謝の意を伝えました。

さらに、白兎は大国主に次の様に述べます。

白兎「私を騙した八十神はヤガミヒメとは結婚は出来ないはずです。

あなたは見た目は、冴えない荷物運びですが、ヤガミヒメの心を掴む者はあなたしかいません」

白兎は大国主がヤガミヒメから選ばれると予言した事になります。

この後に、大国主はヤガミヒメの元に行き、ヤガミヒメは大国主と結婚すると宣言しました。

因幡の白兎の予言は成就したと言えます。

ただし、ヤガミヒメが大国主を選んだ事で、八十神は大国主に嫉妬し殺害してしまった話があります。

しかし、大国主はスサノオを始めとする、様々な試練を乗り越え、最後は八十神を倒す事に成功しました。

大国主は出雲の支配者として君臨する事となります。

因幡の白兎の評価

上記の内容が因幡の白兎の話の内容です。

白兎は最初は、ワニを騙したりして陰湿な部分があった様に思います。

しかし、白兎とワニの話は因果応報であり、相手を利用すれば後で酷い目に遭うという暗示にもなっている様に思いました。

ペテン師とも言える白兎ですが、八十神らに騙されて酷い目に遭い、大国主に出会うと感じるものがあったのでしょう。

相手を騙す存在だった白兎が、大国主の幸せを願う存在にもなっている様に感じました。

古事記は「成長」の物語だと考える人も多いです。

イザナギイザナミの死を受け入れる事で成長し、乱暴者のスサノオは八岐大蛇を倒す事で英雄となりました。

同じ様に、因幡の白兎も成長している様に感じたわけです。

他にも、因幡の白兎がワニを使って因幡に渡った方法は、誰もやった事がない方法であり、イノベーションを巻き起こしたとする見解もあります。

尚、因幡の白兎は兎神として祀られています。

サメなのかワニなのか

因幡の白兎が対岸に行くのに利用したのは、ワニだったのかサメだったのかという問題があります。

一つの説として、やっぱり爬虫類のワニだったのではないかとする説があります。

ワニの背中に飛び乗って対岸に行く話は日本神話だけのものではありません。

東南アジアの方でも見られる話であり、地域によって猿だったり小鹿だったりしますが、ワニの背中に飛び乗って対岸にまで行っています。

さらに、動物は違えどワニの背中に乗り対岸にまで到達した動物は、酷い目に合うのがお決まりのパターンとなっています。

ここで注目したいのは背中に飛び乗る動物は猿、小鹿と変わっても、背中を踏まれる動物は全てワニだという事です。

インドネシアやマレーシアに原型があったワニの背中に飛び乗る話が日本に伝わって因幡の白兎の話になったとする説があります。

この説を信じるのであれば、因幡の白兎が飛び乗ったのは、サメではなくワニだったと言えるでしょう。

白兎海岸

因幡の白兎の舞台となったのは、白兎海岸として実在してます。

白兎海岸の住所は鳥取県鳥取市白兎です。

2010年に白兎海岸は、恋人の聖地としても認定されました。

白兎海岸が恋人の聖地となった理由ですが、荷物持ちでしかなかった大国主がヤガミ姫だけではなく、スセリビメ、タキリビメら多くの女性と恋をし国を造った事に由来するのでしょう。

大国主が最初に選ばれた女性がヤガミヒメであり、因幡の白兎と関係しています。

恋人の聖地白兎海岸(鳥取県HP)

白兎神社

白兎海岸の近くには、白兎神社が存在します。

住所は〒689-0206 鳥取県鳥取市白兎603です。

白兎神社では良縁成就、病気平癒、家内安全、安産祈願など様々な御利益を受ける事が出来ます。

予約制にはなりますが、神前結婚式を行う事も出来る様になっています。

白兎神社

いらすとやさんの因幡の白兎

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