古代日本 日本神話

イザナギ(伊邪那岐命)は日本の父とも言える神

2022年2月28日

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名前イザナギ(伊邪那岐命)、イザナギノミコトとも呼ばれる
別名伊邪那岐神、伊弉諾尊、
神格人類の起源神、結婚の神
時代神代
登場古事記、日本書紀
御利益産業繁栄、出世開運、縁結び、夫婦円満など多数
親族配偶者:イザナミ 子ヒルコ、三貴士など多数
コメント日本列島を造ったとも呼べる神

イザナギはイザナミと共に、日本列島を造り出した神です。

イザナギはイザナミはオノゴロ島に舞い降りると、国生みや神産みを行い日本列島を豊かにしました。

しかし、古事記では神生みの段階で、ヒノカグツチが生まれ、イザナミは亡くなってしまいます。

イザナギはヒノカグツチを斬り捨て、黄泉の国までイザナギを迎えに行きます。

しかし、変わり果てた姿となったイザナミを見て逃げ出してしまい、イザナギとイザナミの関係は破綻しました。

ただし、日本書紀では菊理姫がイザナギとイザナミを取りなした話があります。

イザナギは黄泉の国から帰ると禊を行い天照大神、月読命スサノオと三貴士を誕生させる事に成功しています。

その後に、イザナギは多賀に引退しました。

イザナギが鎮座すると言われる多賀大社は『お多賀さん』の名前でも親しまれています。

イザナギとイザナミは訣別したかの様な形になりましたが、現在は同じ神社で仲良く祀られている事も多いです。

余談ですが、イザナギの名前は「イザナキ」と呼ばれる場合もあります。

私が見た感じですが、書籍などは「イザナキ」と読む場合が多く、ネット上などでは「イザナギ」と読む場合が多い様に感じます。

ここではイザナギの名前で話を進めていきます。

イザナギとイザナミの誕生

イザナギとイザナミは、日本神話では同時に誕生した事になっています。

それまでに出て来た造化三神、別天津神、神世七代の神々は、どこからともなく現れ隠れてしまいました。

それに対し、イザナギとイザナミは隠れる事もせず、神々の命令により日本を造り出す事になります。

イザナギとイザナミは、最初に出て来た人間らしい神とも言えるでしょう。

造化三神から神世七代までの神は、抽象的な要素が強かったのですが、イザナギとイザナミは完成された男女の神でもあります。

尚、イザナギやイザナミの「イザ」には「誘う」という意味があり、『誘いの神』とも呼ばれています。

創世記などのアダムとイブの様な存在が、日本神話におけるイザナギとイザナミなのでしょう。

イザナミとの結婚

高天原の神々はイザナギとイザナミに天沼矛を渡し、国を造る様に命じました。

イザナギとイザナミは天の浮橋から地上を掻き混ぜ、オノゴロ島を造り出します。

オノゴロ島に舞い降りたイザナギとイザナミは、天御柱と八尋殿を造ります。

イザナギとイザナミは天御柱を周り、結婚する事にしました。

イザナギは左から柱を周回し、イザナミは右から周り、天御柱の後ろで出会い結婚しますが、女神であるイザナミから、男神のイザナギに声を掛けています。

この時にイザナギは不吉な予感がしますが、寝所に向かいイザナミとまぐわいを行いました。

まぐわいは、男神と女神の交わりを指し、イザナギとイザナミが日本で最初の性交をした男女だとも考えられています。

国生み

ヒルコとアワシマ

イザナギとイザナミは結婚し、まぐわいを行いますが、誕生したのが未熟児であるヒルコだったわけです。

ヒルコはふにゃふにゃしており、とても日本の国土となる様な代物ではありませんでした。

イザナギとイザナミはヒルコを葦の船に乗せると、海に流してしまいます。

イザナギとイザナミは再び国生みにチャレンジしますが、またもや未熟児であるアハシマが誕生してしまいました。

イザナギとイザナミはアハシマも海に流し、またもや国生みに失敗してしまいます。

因みに、イザナギとイザナミの国生みの失敗は、近親相姦に対する戒めとする声もあります。

古事記には「「妹伊邪那美」とする記述があり、これを素直に読めばイザナギが兄でイザナミが妹となるでしょう。

ただし、「妹」は古代だと「妻」を指す言葉だとも考えられています。

尚、古代の日本列島では、同母で兄、妹の結婚は禁止されていましたが、異母兄妹の結婚は理想的な婚姻とされていた話もある様です。

神々に相談

イザナギとイザナミは国生みがどうしても上手くいかず、高天原に戻り神々に相談したわけです。

この時に神々は鹿の骨を焼き占い、国生みが上手く行かない理由は、イザナミからイザナギに声を掛けた事が原因だと結論を出します。

イザナギとイザナミはオノゴロ島に戻ると、再び天御柱を周りました。

今度はイザナギからイザナミに声を掛け、二柱はまぐわいを行うと淡路島が誕生したわけです。

ここから先は、次々に日本の国土を生み大八島国と周辺の島々を生む事に成功しています。

男神であえるイザナギから声を掛けた事で、国生みは大成功に至りました。

神産み

イザナギとイザナミは国生みが終わると、神産みを始め日本を豊かにしようと考えます。

神産みは順調に進み大事忍男神を最初に生むと、次は家宅六神を生みました。

さらに、次々と神が生まれイザナギとイザナミから生まれた神同士も結婚し、日本は自然豊かな国へと変貌していきます。

イザナギとイザナミから生まれた神々に関しては、最後の方でまとめてあります。

尚、古事記によればイザナギとイザナミは、14の島と35の神を生んだともされていますが、数が合わない問題も指摘されている状態です。

しかし、順調だと思われた神産みも、火の神であるヒノカグツチが生まれた時に、悲劇が起こります。

イザナミの死

イザナミは火の神を生みますが、この時にイザナミはホト(女性器)を傷つけてしまい重体となります。

重体となったイザナミの体からも、神が誕生した話があります。

イザナミの容体が回復する事はなく、遂には亡くなってしまいました。

イザナギはイザナミの死にショックを受け、次の言葉を述べています。

イザナギ「愛しい我妻と子の一人を引きかえには出来ない」

この時に、イザナギは涙を流すと、泣沢女神が生まれました。

イザナギはイザナミとまぐわいを行わなければ、子供が出来なかったのですが、この時になると一人でも神産みが出来る様になったわけです。

しかし、この時の神産みはまぐれ的な要素もあったのでしょう。

因みに、次に男神と女神のまぐわいにより、子が誕生するのは八岐大蛇を退治した後の、スサノオとクシナダヒメを待たねばなりません。

尚、今の日本では「男は人前で涙を流すものではない」とする考えがありますが、古代の日本では嬉しくても悲しくても、人前で泣く事が多々あったともされています。

涙は古代の葬送の儀においては、蘇生を願う鎮魂の為の儀式とする話もある程です。

イザナギはイザナミの遺体を葬る事にしました。

火の神を斬る

古事記によれば、イザナキはイザナミを、出雲と伯耆の間にある比婆の山に葬ったとあります。

比婆の山は諸説がありますが、島根県安来市の比婆山が有力だとされている状態です。

イザナキはイザナミを葬ってからも感情が治まらずに、イザナミが亡くなる原因となった火の神ヒノカグツチを許す事が出来ませんでした。

イザナギは持っていた十拳の剣を抜き、ヒノカグツチを斬り捨てています。

イザナギにとっては、子供が出来た喜びよりも、イザナミを失った悲しみの方が大きかったのでしょう。

イザナギの剣先についた血から石拆神、根拆神、石筒之男神の三柱が生まれます。

そして、剣の根元についた血から甕速日神、建御雷之男神らが生まれました。

火は斬ると分裂するわけであり、ヒノカグツチの体からも分裂し神が生まれています。

ヒノカグツチから生まれた神一覧wikiより

イザナギがヒノカグツチを斬り捨てた十拳の剣を「天之尾羽張」とも呼び、この時にタケミカヅチ(建御雷之男神)も誕生しました。

天之尾羽張は剣の様で神でもあり、先に述べた様に天之尾羽張からタケミカヅチが生まれています。

そうした事情から、天之尾羽張の子がタケミカヅチという設定となっています。

タケミカヅチは出雲の国譲りの話でも登場し、最終的にタケミカヅチに屈した大国主が、高天原の勢力に地上を譲る事になりました。

タケミカヅチは出雲の国譲りのキーマンとも呼べる神です。

ヒノカグツチを斬り捨てたイザナギは、黄泉の国に向かいます。

黄泉の国

イザナギを迎えに行く

イザナギはイザナミを失った悲しみに耐える事が出来なくなり、黄泉の国までイザナミを迎えに行く事にしました。

イザナギはイザナミの死を受け入れる事が出来なかったわけです。

古代の人の思想として、現実の世界と死の世界の『間の世界』があり、間の世界にいる場合は「生き返らせる事が可能」だとも考えられていました。

こうした思想からイザナギは、イザナミを黄泉の国に迎えに行ったのでしょう。

イザナギは黄泉の国で、イザナミがいる建物の前まで辿り着きます。

私を見ないでください

イザナギはイザナミがいる建物の前で、次の様に述べました。

イザナギ「愛おしい我が妻よ。自分とお前で造った国はまだ完成していない。

だから、帰って来てほしい」

これに対し、イザナミはイザナギが迎えに来てくれた事は嬉しいが、自分は既に帰る事が出来なくなったと伝えました。

しかし、イザナミも現世に帰りたいと思ったのか、黄泉の神と交渉し戻れる様にしたいと述べたわけです。

ここでイザナミは、次の様に述べます。

イザナミ「私を決して見ないでください。」

イザナミは自分が帰って来るまでの間は、決して自分の姿を見ないで欲しいと述べたわけです。

変わり果てたイザナミ

イザナギはイザナミを待ちますが、中々帰っては来ませんでした。

イザナギはイザナミの様子が気になり、櫛などの装飾品を松明に変えるなどし、中の様子を見てしまったわけです。

イザナギはイザナミの姿を見ると、イザナミの体からは蛆が湧き、雷神が体内で蠢いていました。

イザナミは「私に恥をかかせましたね」と述べ、恐怖したイザナギは思わず逃げ出してしまったわけです。

日本で最初の鬼ごっこ

イザナギが逃げ出すと、イザナミは黄泉醜女に命じ、追いかけさせています。

イザナギは黄泉醜女から振り切る為に、黒い髪飾りを山葡萄に変えます。

黄泉醜女らは山葡萄を食べますが、食べ終わると再びイザナギを追いかけました。

イザナギは「このままでは追いつかれる」と思ったのか、今度は櫛をタケノコに変えています。

ここでも黄泉醜女はタケノコを食べ出し、イザナギへの追撃が遅れてしまいました。

イザナミは黄泉醜女では、イザナギを捕まえる事が出来ぬと判断したのか、雷神や黄泉の国の軍隊を使いイザナギを追いかけさせています。

これが日本で最初の鬼ごっこだとも言われています。

桃の実

イザナギは黄泉の国の入り口である、黄泉比良坂まで辿り着きます。

黄泉比良坂には、桃の木が生えており、イザナギは黄泉の国の軍隊に桃の実を投げつけると、黄泉の国の軍隊が撤退を始めました。

イザナギは桃に感謝の意を示し「オオカムヅミノミコト」の名を与えています。

この桃の実であるオオカムヅミが桃太郎の原形とする説もある様です。

黄泉の軍隊は撤退しましたが、イザナミは最後まで追いかけるのを止めませんでした。

人間の生死

イザナギは千人力でないと動かせない岩を取り出し、黄泉の国の入り口を塞ぎました。

岩を挟んでイザナギとイザナミは、話し合う事になります。

イザナミは「この様な酷い事をするなら、1日に千人の人間を殺害する」と述べます。

それに対し、イザナギは「ならば、自分は1日に千五百の産屋を建てる」と言い返しました。

これにより、人間は1日に千人が死に、千人が生まれる様になったとも言われています。

尚、日本神話ではイザナギとイザナミのこのシーンで初めて、人間が登場するのであり、実際にどのタイミングで人間が誕生したのかは書かれていません。

イザナギは大岩の前から去り、イザナギとイザナミの関係は完全に決裂しました。

この事から、イザナミは黄泉大神や道敷大神と呼ばれる様になった話があります。

因みに、黄泉の国を塞いだ大岩を道反之大神と呼び、塞いでるのを黄泉戸大神と呼びます。

日本書紀では対立するイザナギとイザナミの前に、菊理姫と泉守道者が現れ、イザナミとイザナギを説得させ別れさせた話があります。

菊理姫と泉守道者は謎が多い存在でもあります。

禊と三貴士の誕生

イザナギは黄泉の国で穢れてしまったと考え、禊を行う事にしました。

イザナギが杖、衣服、装飾品を外すと十二柱の神が生まれます。

イザナギは一人では生めない神でしたが、黄泉の国から帰ると不思議な力を得たのか、一人でも神産みが出来る様になったわけです。

イザナギが入水し禊を始めると、禍々しい神も出ますが、それらを打ち消す良い神も誕生します。

この辺りは「世の中悪い事ばかりではない」という事なのでしょう。

イザナギは禊の最後に、清流で顔を洗う事にしました

この時に、イザナギの左目から天照大神が誕生し、右目からは月読命が誕生しています。

さらに、イザナギは鼻を洗うとスサノオが誕生しました。

天照大神、月読命、スサノオは強大な力を持った神であり、三貴士と呼びます。

イザナギは三貴士の誕生を非常に喜びました。

イザナギとしてみれば、黄泉の国で苦難があったが、最後の最後でレアカードを引いた気分だったのでしょう。

三貴士の統治

イザナギは天照大神に自分の首飾りである御倉板挙之神を渡し、高天原を統治させる事にしました。

御倉板挙之神には特別な力が秘められており、イザナギの能力が天照大神に引き継がれたと考える専門家もいます。

イザナギは月読命に、夜の国を任せました。

そして、スサノオには海原を任せたわけです。

天照大神と月読命は命令に従い高天原と夜の国に行きますが、スサノオだけは海原に行こうとはしませんでした。

スサノオは泣きわめき、山は枯れ海は干し上がるなど、日本列島は酷い状態になってしまいます。

スサノオの追放と引退

イザナギは泣きじゃくるスサノオを見て「なぜ海原に行かぬのか?」と問います。

すると、スサノオは「亡き母がいる根の堅州国に行きたい」と述べました。

スサノオはイザナギの鼻を洗い生まれたのであり、母親はいないはずですが、何故か母親に逢いたいと泣き叫んだわけです。

ここでイザナギは、次の様にスサノオに言い放ちます。

イザナギ「ならば、お前はこの国にいてはならぬ」

イザナギはスサノオの追放を宣言しました。

スサノオの言う「亡き母」は誰を指すのかは議論されていますが、多くの専門家はイザナミを指すのではないかと考えています。

スサノオの言う母親がイザナミであれば、既にイザナギとの関係は決裂している状態です。

さらに、現在のイザナミの姿は蛆が湧き変わり果てた姿となっており、イザナギとしてみては、スサノオをイザナミには合わせたくなかったのでしょう。

イザナギとしてみては、怒鳴って無理やりスサノオに、言う事を聞かせるしかなかったとも考えられます。

ただし、追放されたスサノオは天照大神がいる高天原を目指した話があり、自由の身である事から、イザナギはスサノオを何処に追放しようとしたのかは不明です。

イザナギの方は高天原にいる天照大神に任せておけば、問題ないと考えたのか引退を決意しました。

イザナギが多賀に引退すると、日本神話は天照大神とスサノオの話に移っていきます。

尚、イザナギが引退した多賀はは「近江の多賀大社」だったとする説もあれば、「淡路島の多賀」だったとする説もあり、はっきりとしません。

イザナギを祀る神社

神社名住所電話番号
多賀大社〒522-0341 滋賀県犬上郡多賀町多賀6040749-48-1101
伊弉諾神宮〒656-1521 兵庫県淡路市多賀7400799-80-5001
三峰神社〒369-1902 埼玉県秩父市三峰298−10494-55-0241
おのころ島神社〒656-0423 兵庫県南あわじ市榎列下幡多4150799-42-5320
熊野速玉大社〒647-0081 和歌山県新宮市新宮1番地0735-22-2533
熊野那智大社〒649-5301 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山10735-55-0321
七社神社〒114-0024 東京都北区西ケ原2丁目11−103-3910-1641
艮神社〒720-0073 広島県福山市北吉津町1丁目5−24084-922-3149
二柱神社〒981-3117 宮城県仙台市泉区市名坂西裏61022-372-3474
小樽水天宮〒047-0028 北海道小樽市相生町3−10134-22-3495

この記事を書いた人

構成・文/宮下悠史

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