名前 | 天宇受賣命 |
読み方 | アメノウズメ |
別名 | 天鈿女命 |
登場 | 日本神話 |
一族 | 父神:天比理刀咩命 母神:天比理刀咩命 |
配偶者 | 猿田彦 |
コメント | 人気ナンバー1の芸能の女神 |
アメノウズメは日本神話に登場する芸能の神でもあります。
芸能の神様と言えば、お笑いを連想するかも知れません。
しかし、アメノウズメはどちらかと言えば踊りを踊ったり、服を脱いだりしています。
日本神話においてアメノウズメは天照大神が引き籠ってしまった天岩戸や瓊瓊杵尊による天孫降臨など、見せ場も多い女神でもあります。
アメノウズメは愛嬌もあり、日本神話の女神の中でも屈指に人気を誇っている程です。
尚、アメノウズメは天孫降臨で高千穂に舞い降りた後は、猿田彦に仕える事になり猿女君を名乗る事になりました。
しかし、猿田彦に不幸な出来事があると激昂したアメノウズメは、ナマコの口を割いてしまった逸話が残っています。
今回は愛嬌がありながらも、怖い部分もあるアメノウズメを解説します。
因みに、アメノウズメは全国の各地の神社に祀られており、長野県の鈿女神社では「おかめさま」の名前で親しまれていたり、三重県の長峰神社の付近では於須女さんの名前で親しまれています。
アメノウズメは芸能の神というだけであり、多くの人々に愛されていた事が分かるはずです。
アメノウズメが祀られている神社に関しては、最下部に記載しました。
天岩戸での豪快な脱ぎっぷり
アメノウズメの最初の見せ場が天岩戸事件となります。
スサノオが高天原で暴れ機織女が亡くなった事で、天照大神は心に傷を負い天岩戸に籠ってしまいました。
天照大神は太陽神でもあり、世界から光が消え闇が支配し高天原も葦原中国も荒廃してしまいます。
神々は天安河原に集まり天照大神を天岩戸から出す為の作戦を練りました。
思金神の案で三種の神器のうちの八尺瓊勾玉や八咫鏡を用意し神々は天岩戸の前でお祭りを始めたわけです。
神々の祭りの中心にいたのがアメノウズメであり、桶を反対にした台の上に昇り踊りを披露しました。
アメノウズメは日本で最初の踊り子とも言われています。
アメノウズメは場が盛り上がって来ると、下半身も見せて踊りました。
アメノウズメは上半身も下半身も全て見せて、会場は大盛り上がりとなったわけです。
天照大神は賑やかな声を聴くと、外の様子を覗きました。
すると、アメノウズメが踊り神々が騒いでいるのを目にします。
アメノウズメは天照大神が外の様子を覗き天岩戸を少し開けた事に気が付くと、天照大神に「貴方よりも尊い神が現れたから盛り上がっているのです」と告げます。
天照大神が驚くとアメノウズメは鏡を天照大神に見せました。
天照大神が自分の顔を見て一瞬怯んだところで、力の神であるタヂカラオが天岩戸の石を投げ飛ばしました。
これにより天照大神の引きこもりは強勢終了されたわけです。
天岩戸事件で最も活躍したのは、アメノウズメだと言えます。
アメノウズメは「芸能の神」「神楽の元祖」としても崇められており、天岩戸事件では面目躍如といったところでしょう。
天孫降臨で活躍
地上行きメンバーに加わる
後に天照大神は大国主から出雲の国譲りにより、地上も統治する事になりました。
天照大神はアメノオシホミミの子である瓊瓊杵尊に地上行を命じています。
これが天孫降臨であり、アメノウズメや思金神ら多くの神々が同行しました。
瓊瓊杵尊の一行が天の八衢まで行くと、上は高天原を照らし、下は葦原中国を照らす謎の神に出会いました。
この神こそが、後にアメノウズメと結ばれる猿田彦なのですが、口と尻が光り、目は八咫鏡、照り輝く赤いホオズキと記録されており、異様さが際立っていたわけです。
瓊瓊杵尊の一行は動けなくなりますが、この様子を高天原から見ていた天照大神がアメノウズメにメッセージを送りました。
天照大神は瓊瓊杵尊らが猿田彦にビビるなかで、アメノウズメだけが平常心でいた事に気付いていました。
天照大神はアメノウズメに「お前は非力な神ではあるが胆がすわっている。どんな神でも話が出来る」と述べ「天孫が地上に降り立とうとしているのに遮るのはなぜだ」と問うて来る様に命じます。
アメノウズメは天照大神の言われた様に前に進み出て猿田彦に近づきました。
この時にアメノウズメは服を脱いで猿田彦に近づいたとあります。
猿田彦とアメノウズメ
アメノウズメは服を脱ぎ猿田彦に近づき、猿田彦に素性を聞くと、猿田彦は名と国津神だと素性を明かしました。
猿田彦は瓊瓊杵尊ら天孫の一行に危害を加えるつもりはなく、仕えたいと告げます。
猿田彦はアメノウズメに筑紫の日向高千穂の櫛触峰まで案内し、それが終わったら故郷の伊勢に帰るつもりだと述べました。
この時に猿田彦はアメノウズメが気に入った様であり「私の名を世に知らしめたのは貴方だ」と述べ、伊勢の狭長田五十鈴川の川上まで送る様に告げました。
ここでもアメノウズメの活躍により瓊瓊杵尊の一行は、天の八衢を通過し無事に高千穂に到着しています。
天孫降臨が成し遂げられた事により、日本神話は日向三代となり日本列島の九州を中心に物語は進められていきます。
尚、猿田彦は長い鼻を持っていた話があり、アメノウズメが服を脱いだ事で、猿田彦の長い鼻は男性器を指し、アメノウズメが女性器で男女の交わりを指すとする説もあります。
猿女君
瓊瓊杵尊が高千穂に舞い降りると、猿田彦は伊勢に帰ると言いました。
猿田彦は故郷の伊勢を開けておくわけにも行かず、瓊瓊杵尊に別れを告げに行ったわけです。
この時に、瓊瓊杵尊は気を遣ったのか、アメノウズメに猿田彦の見送る様にと命じています。
さらに、瓊瓊杵尊はアメノウズメに猿田彦に仕える様に命令しました。
アメノウズメは猿田彦に仕える事になり、猿女君を名乗る事になります。
アメノウズメが名乗った猿女君という名前には「猿」の文字が入っていて頭が悪そうに思うかも知れませんが、実際には政府要人だと思った方がよいでしょう。
猿女君が古事記編集の語り部となった、稗田阿礼の祖先ともされています。
尚、アメノウズメと猿田彦は結婚したとも考えられており、アメノウズメが猿女君を名乗ったのは日本で結婚して最初に姓を変えた女性とも考えられています。
なまこの口を割く
後に猿田彦は比良夫貝により命を落とす事になります。
猿田彦の死を聞き激昂したのが、アメノウズメです。
古事記ではアメノウズメは海に行き海の生物たちを集めました
アメノウズメは海の生き物たちに「天津神の子孫に仕えるのか」と選択を迫りました。
アメノウズメの鬼気迫る姿もあった為か、大半の魚が天津神への忠誠を誓いました。
しかし、ナマコが返事をしなかったのをアメノウズメは見逃さなかったわけです。
猿田彦の事で不信感を持っていたのか、アメノウズメはナマコの口を割いてしまいました。
古事記では、アメノウズメがナマコの口を割いた後に、「だから、今でもナマコの口は避けている」と書かれています。
尚、アメノウズメの言葉は魚たちに「天津神」に味方するのか、海の化け物である比良夫貝に味方するのか、選択を迫った出来事だとも考えられている状態です。
アメノウズメがナマコの口を割いたのは、猿田彦と比良夫貝の一件で鬱憤が溜まっていた結果なのでしょう。
アメノウズメの行為を讃えたのが朝廷であり、天皇の時代になっても志摩の海産物の特急便を献じる時は、猿女君に下賜した話があります。
因みに、猿田彦が亡くなった後に、アメノウズメは高千穂に帰ったのではないか?とする説もあります。
尚、ナマコの口を割いた話が日本神話におけるアメノウズメの最後の話であり、これ以降は登場しなくなります。
アメノウズメと太陽神
アメノウズメは巫女だったのではないか?とする説があります。
古代の日本では神々の言葉を聞くのに、巫女と審神者が必要でした。
審神者に関しては神功皇后の時代に中臣烏賊津が審神者となり、神功皇后を熊襲征伐に導いたりもしています。
こうした事例を見ても、大和王権と巫女と審神者には深い関係があるのではないか?とも考えられているわけです。
神の言葉を聞く為に巫女が踊りを踊り、巫女に神が降りた状態とします。
巫女が躍るあたりはアメノウズメが天岩戸で踊りを踊ったのとイメージが重なります。
神が降りた巫女の言葉を審神者が、天皇や人々に分かる様に翻訳するわけです。
こうした理由から、アメノウズメが天岩戸や猿田彦との出会いで服を脱いだのは、神と交信する為の儀式だとも考えられています。
天岩戸では天照大神は引き籠っており人々を拒絶し、会話が出来ない状態でした。
猿田彦も天の八衢で天上界と地上界を照らしてはいましたが、自分から瓊瓊杵尊の一行に話そうともせず、拒絶した様な状態にも見えます。
こうした中でアメノウズメが服を脱ぎ話すのは、意思疎通が取れない神に巫女が脱衣を行い意思疎通をしようと試みる姿とも被るわけです。
魏志倭人伝を見ると、倭人は重要な局面では占いをすると記録されており、古代日本人が神の言葉を重視した結果でもあるのでしょう。
さらに、邪馬台国の女王となり30カ国を纏め上げた卑弥呼もシャーマンであり鬼道の達人だったと考えられています。
ただし、アメノウズメと卑弥呼の同一人物説だけは未だに聞いた事がありません。
尚、女神が服を脱いで危機を脱する方法は世界の神話でも見られます。
エジプト神話では太陽神ラーが暴言を吐かれ引き籠ってしまった時に、女神ハトホルが下半身を見せる事でラーの機嫌を直し心を蘇らせました。
ギリシア神話にもバウボという女性が、デルメルに女性器を見せる事で復活した話があります。
それを考えると、アメノウズメだけではなく世界の神話を見ても女性器には不思議な力がある事が分かります。
尚、日本神話では大国主の娘で天若日子と結婚した下照姫がいます。
下照姫も名前から行って下半身が光っている様に思われますが、天若日子の死を悲しむ普通の女神となっています。
因みに、アメノウズメが服を脱いだ天照大神や猿田彦は共に太陽神であり、エジプト神話でハトホルが下半身を見せたラーも太陽神だという所は興味深い所です。
アメノウズメは人気ナンバー1の神様
YouTubeのアンケート機能を使って、日本神話の女神たちによる人気投票をしてみました。
彼女にしたい女神は誰ですか?という質問です。
引用:YouTubeアンケート
決勝に残ったのが天照大神、アメノウズメ、クシナダヒメ、ウタノミタマだったのですが、アメノウズメが予選から全て圧勝し優勝を飾りました。
アメノウズメは日本神話の女神の中で圧倒的な人気を誇る女神だと言えるでしょう。
アメノウズメが祀られている神社
アメノウズメが祀られている神社を紹介します。
アメノウズメは天照大神とも関係が深い伊勢神宮や宮崎県荒立神社などで祀られているのは有名です。
尚、芸能神社などは多くの芸能人が参拝した事でも有名な神社でもあります。
神社名 | 住所 | 電話番号 |
伊勢神宮 | 三重県伊勢市宇治館町1 | 0596-24-1111 |
荒立神社 | 宮崎県西臼杵郡高千穂町三田井667 | 0982-72-2368 |
鈿女神社 | 長野県北安曇郡松川村大仙寺6695−1 | |
椿大神社 | 三重県鈴鹿市山本町1871 | 059-371-1515 |
長峯神社 | 三重県伊勢市古市町333-1 | 0596-27-6423 |
千代神社 | 滋賀県彦根市京町2丁目9−33 | 0749-22-1237 |
佐瑠女神社 | 三重県伊勢市宇治浦田2丁目1 | 0596-22-2554 |
芸能神社 | 京都府京都市右京区嵯峨朝日町 | |
宮比神社(秋田) | 秋田県山本郡三種町鵜川字大曲家ノ上20 | 0185-85-4670 |
御園神社 | 東京都大田区西蒲田7-40-8 | 03-3735-5096 |