その他 三国志

劉偕(りゅうかい)は略奪を進言するも失敗

2022年3月30日

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宮下悠史

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名前劉偕(りゅうかい)
生没年不明
時代後漢末期、三国志
勢力劉勲
年表199年 北方に逃亡

劉偕は劉勲の従弟であり、正史三国志の注釈『江表伝』に名前が挙がる人物です。

劉勲は食料が不足した時に、劉偕に命じ豫章太守の華歆に食料の援助を求めさせています。

しかし、華歆の方でも食料が不足しており、思った様に劉偕に食糧援助が出来ませんでした。

食糧を調達できない劉偕は劉勲に、海昬や上繚を襲撃し略奪する様に進言しますが、この策が元で劉勲の勢力は本拠地を孫策に奪われています。

今回は劉勲の勢力が、消滅する原因を作った劉偕の解説を致します。

旧袁術軍と食糧問題

江表伝によれば孫策は、朝廷から詔勅を受け曹操董承劉璋らと袁術と劉表を討つ様に指示されました。

この時に袁術軍は弱体化しており、袁術袁紹と合流しようとしますが病死しています。

袁術が亡くなると袁胤は娘婿の黄猗らと共に、旧袁術勢力を引き継ぎますが、袁胤は袁術の本拠地であった寿春を守り抜けないと判断し、皖城の劉勲を頼りました。

劉勲は劉曄の活躍もあり鄭宝の軍勢も吸収し、大きな勢力となりますが、食料が不足し過ぎてしまい、袁胤ら旧袁術勢力の十分な支援が出来なかったわけです。

食糧不足に悩まされる中で劉勲は、従弟の劉偕に命じ豫章太守の華歆に、食料の援助を求めさせています。

劉偕は食糧支援の依頼を華歆にする為に、豫章に向かいました。

華歆の策

劉偕が豫章に到着すると、華歆に食料の支援を求めました。

江表伝によれば「華歆に食料の買い入れを求めた」とあります。

しかし、華歆の方でも食料が不足しており、劉偕の願いを叶え劉勲に食料を支援するのは、難しい状態だったわけです。

食糧の手配が出来ない華歆は、劉偕に役人を付けて海昬・上繚に向かわせ、地方の宗帥(地方の独立勢力)らから三万石の食料を調達しようとしました。

華歆は海昬・上繚の宗帥から三万石を徴収し、劉偕に与えようとします。

しかし、海昬や上繚でも食料が不足していたのか、宗帥らが出し渋ったのか、劉偕は思った様に食料を集める事が出来ませんでした。

劉勲への進言

海昬や上繚に向かい1カ月を超えても、十分な成果をあげる事が出来ない劉偕は、次の様な連絡を劉勲に入れる事になります。

「軍を進めて、海昬・上繚を襲撃し食料を得るべきです」

この時に、劉偕は「現地の情勢を詳しく調べた」とする記述があり、海昬や上繚に関しては、詳しくリサーチした上で劉勲に略奪を進言したのでしょう。

劉勲は劉偕の手紙を受け取ると、軍を海昬の近くまで進めています。

しかし、宗師らは劉勲の動きを察知し、街を空にして逃げたので、劉勲は何一つ得る事が出来ずに失敗に終わりました。

宗師らは劉勲に奪われるくらいならと考え、焦土の様な形にして邑を去ったのかも知れません。

劉偕は詳細に調べて、劉勲に軍勢を進める様に依頼したにも関わらず、策が失敗してしまったわけです。

劉偕の作戦が何らかの形で、宗師らに気付かれてしまったのでしょう。

北方に逃亡

劉偕の策は失敗しますが、事はこれだけに終わりませんでした。

当時の孫策は、江夏の黄祖討伐に向かっていたわけです。

しかし、劉勲が軍勢を海昬に向けた事を知ると、孫策は軍を分け、孫賁と孫輔に劉勲を待ち伏せさせ、自らは劉勲の本拠地である皖城を周瑜と共に攻撃しています。

皖城は短期間で落城し、劉偕の策で劉勲が動き、本拠地を失う結果となります。

孫策はこの戦いで美貌と名高い喬玄の娘である大喬、小橋を得て、さらに孫権の夫人となる袁夫人や歩夫人も得る事になりました。

この後に劉勲や劉偕は西塞山に籠り、江夏太守の黄祖に援軍を要請すると、黄祖は黄射を派遣しています。

しかし、黄射の軍が到着する前に、西塞山の戦いは決着が着き、劉勲や劉偕は敗れ去りました。

劉勲と劉偕は、もはや戦力の維持は出来ないと判断し、曹操を頼り北方に逃れています。

尚、劉偕は劉勲と北方には向かいましたが、これ以降の劉偕の記録がなく、どの様になったのかは不明です。

因みに、劉勲を破った孫策は黄射を追撃する形で、夏口に向かい沙羨の戦いで黄祖と戦っています。

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