蔡中は蔡勳や蔡和と同様に、三国志演義のオリジナルキャラです。
蔡瑁の一族という設定になっています。
しかし、劉備は西門から的盧に乗り脱出しており、取り逃がしてしまいました。
三國志演義の赤壁の戦いで蔡瑁が張允と共に、呉の孫権への内通を疑われ処刑されてしまうと、呉の陣営に向かう事になります。
蔡中や蔡和と共に、呉に偽りの忠誠を誓いますが、周瑜に見破られており、結局は計略のダシとして使われてしまいました。
蔡中は三国志演義でやられ役となる為に想像された架空のキャラだとも言えます。
尚、三国志のゲームなどでは知力が最低レベルを付けられる事があり、かなり評価が低い状態です。
ただし、蔡中の能力の総合値で言えば黄皓、夏侯楙、韓玄、劉禅、岑昏などよりも高く評価される事があります。
それでも、蔡中はゲーム内で最低クラスの評価をされるのが普通です。
因みに、上記はコーエーテクモゲームスさんの三国志の蔡中の画像ですが、甘寧に斬られる場面をモチーフにして描かれているのでしょう。
蔡中の雰囲気をよく出しているとも言えます。
尚、今回の話は全て三国志演義の中の話だと考えて読み進めてください。
埋伏の毒
荀攸の計略
曹操は赤壁の戦いの時に、周瑜の計略もあり、水軍を率いていた蔡瑁と張允を処刑してしまいます。
さらに、諸葛亮により10万本の矢を失い、曹操は苛立っていました。
こうした中で荀攸が次の様に進言しています。
荀攸「江東には周瑜と諸葛亮がいますが、敵の内情は全く分かっていません。
軍中より人を選んで東呉に「降伏」と偽り、呉の陣営に忍び込ませるべきです」
ここで曹操が適任者は誰か?と問うと、荀攸は「蔡中と蔡和」の名前を挙げています。
荀攸は処刑された蔡瑁の一族であり、蔡中と蔡和が適任と判断したわけです。
曹操は荀攸の策を採用し、蔡中と蔡和の二人を呼び出します。
曹操に呼び出される
曹操は蔡中と蔡和がやってくると、次の様に述べました。
曹操「蔡中と蔡和の兄弟は、僅かな兵士を引き連れて、東呉に参り偽って降伏を願い出て貰いたい。
敵が少しでも動いたら、逐一我らに報告する様にして欲しい。
無事に東呉を破る事が出来たなら、莫大な褒賞を出す事を約束いたす。
決して裏切る事はしないで欲しい」
曹操は埋伏の毒として蔡中と蔡和を呉の陣営に向かわせる事としました。
蔡中と蔡和も荊州に人質として妻子がいる事を述べ、五百の兵を引き連れて周瑜の陣営に投降しました。
周瑜に見破られる
蔡中と蔡和が周瑜の陣にやってくると、周瑜は味方として扱う事にしました。
ただし、周瑜は蔡中と蔡和が妻子を伴っていない事から、偽りの投降だと見破っていたわけです。
諸葛亮も蔡中と蔡和が埋伏の毒だと判断し活用方法を思案していましたが、魯粛だけが蔡中と蔡和の活用方法が分らないなど、滑稽な姿として描かれています。
ただし、これらは史実ではありません。
史実の魯粛は剛胆な人物であり、決してお人好しでも間抜けな人物でもなく、紛れもなく名臣と呼べる人物です。
策に利用される
周瑜や諸葛亮は曹操の軍を破る為に、火計を考案します。
しかし、火計を確実に成功させる為に周瑜は黄蓋と苦肉の策を実行しました。
黄蓋が周瑜に痛めつけられる様を見て、蔡中と蔡和が曹操に報告を入れています。
さらに、蔡中と蔡和は甘寧にも降伏を約束させ、闞沢、甘寧、蔡中、蔡和の四名で酒を飲んで語り合う場面も存在します。
ただし、これらは全て策略であり蔡中と蔡和が、甘寧や闞沢の芝居に騙されていたわけです。
黄蓋は闞沢を使者とし、曹操に派遣し闞沢が弁舌を振るった事で、曹操は黄蓋が寝返ると信じる事になります。
さらに、蔣幹も周瑜に出し抜かれ、龐統の連環の計が加わり、呉が赤壁の戦いで勝つための必勝の態勢が構築されました。
蔡中の最後
蔡中と蔡和は赤壁の戦いが始まると、別行動をしますが、蔡和は早々と用済みとみられ周瑜に斬られています。
黄蓋の火計が大成功を納め魏軍に大打撃を与えました。
蔡中は甘寧の案内役となり、先導しますが途中で用済みだと判断され、甘寧に斬首されています。
甘寧は焼き討ちの計を実行し、呂蒙も火計を実行し赤壁の戦いは、呉軍の大勝利に終わりました。
蔡中は三国志演義では利用されるだけ利用され、最後は甘寧に斬られると言う損な役回りとなっています。
蔡中が架空の人物なのは、蔡中ほど策略に利用される人は滅多にいない為、三国志演義の著者である羅貫中も「やられ役」として、蔡中・蔡和を必要としたのでしょう。
蔡中の能力値
三国志14 | 統率40 | 武力54 | 知力2 | 政治22 | 魅力33 |