天浮橋は古事記や日本書紀に登場する高天原にある橋であり、神々はここから地上に行く事が出来ます。
日本神話を見ても、天浮橋がどのタイミングで出来たのかはイマイチ説明がなく不明です。
しかし、天地開闢の時に高天原が誕生し別天神、神世七代が現れイザナギ、イザナミが国を造ろうとした時に、最初に立った場所が天浮橋となっています。
それを考えれば、天浮橋は高天原が誕生した時に既にあったか、造化三神や神世七代の神々の誰かが造ったという事になるでしょう。
橋を造るには杭を打ったりする必要もあり、天浮橋は神世七代の角杙神・活杙神や意富斗能地神・大斗乃弁神などが建造したのかも知れません。
天浮橋は高天原と地上の境界でもあり、重要なポイントでもあります。
天浮橋は単なる橋ではなく、この橋の上でドラマがあったとも言えます。
尚、高天原と地上の境界が天浮橋であるならば、黄泉の国と地上の境界が黄泉比良坂だと言えるでしょう。
天浮橋の場所ですが、高天原が何処にあったのかもよく分かってはおらず、不明として言いようがありません。
ただし、天浮橋が九州にあったなどの説は存在しています。
今回は日本神話で高天原にあると言われた天浮橋を解説します。
国生み
造化三神などの原始の神は、様々な描写はあっても人間的なドラマはなく現れては消えていきました。
神世七代の最後に現れたイザナギ、イザナミに至って、全ての人間的な要素を兼ね備え日本神話の物語が進んで行く事になります。
イザナギとイザナミは地上に国を造る事にしますが、最初に天浮橋の上に立ったわけです。
イザナギとイザナミは天浮橋の上から天沼矛を地上に突きさし、かき混ぜたりして、オノゴロ島を完成させました。
天浮橋から天沼矛を使いオノゴロ島が出来た事から、イザナギとイザナミは地上に降りたち、国生みの物語へ移行します。
天浮橋からオノゴロ島を完成させたのは、国生みの第一歩だと言えるでしょう。
天孫降臨
出雲の大国主は出雲を大発展させますが、天照大神は地上は天津神が統治すべきだと考えました。
天照大神はスサノオとの誓約で誕生した天忍穂耳命(アメノオシホミミ)を地上に派遣すべく命令を出します。
天忍穂耳命は地上との境界である天浮橋まで来ますが、地上は混沌としており足が恐怖してしまいました。
天忍穂耳命の描写を見ると、天浮橋からは地上がよく見えたのでしょう。
天忍穂耳命は天浮橋から引き返し、天照大神に報告し、天照大神と高御産巣日神は最終的に建御雷神(タケミカヅチ)を派遣し地上を平定しています。
出雲の国譲りが完了すると、天照大神の孫である瓊瓊杵尊が高天原から地上に降りたち天孫降臨を行っています。
瓊瓊杵尊にアメノウズメや思金神らが同行しましたが、普通に考えれば天浮橋から地上に向かったのでしょう。
瓊瓊杵尊らは途中で猿田彦大神に会うなど、日本神話は日向三代と呼ばれる話に移行する事になります。