邢道栄（けいどうえい）は万夫不当の勇者だったのか！？

邢道栄は三国志演義に登場する架空の人物であり、正史三国志には登場しません。

ネット上なのでは邢道栄を略して、KDA（ケードーエー）と呼ばれる事もあります。

邢道栄は三国志演義で零陵太守の劉度の配下として登場します。

邢道栄が登場する時に、劉賢が万夫不当の勇を持っていると紹介した話はインパクトが強いです。

しかし、実際の邢道栄は張飛や趙雲に大きく武芸は劣っていた様で、いい所もなく命を落としています。

今回は三国志演義のオリキャラでKDAの異名を持つ邢道栄を解説します。

尚、邢道栄の主君である劉度は韓玄、趙範、金旋と並び荊州四英傑の一人に数えられています。

劉賢に推挙される

曹操との赤壁の戦いは周瑜や黄蓋の火計もあり、孫権、劉備連合軍が勝利しました。

周瑜は曹仁が籠る江陵を囲みますが、その間に劉備達は関羽を残し、荊州南部の四郡を手に入れるべく動きました。

最初に劉備や諸葛亮らは零陵に向かいますが、ここを守っていたのが邢道栄の主君である劉度です。

劉備らがやって来た事を知ると、劉度の子である劉賢は次の様に述べています。

劉賢「劉備の下には張飛や趙雲の様な豪の者がおりますが、恐れる事はありません。

私が見た所、我が配下の邢道栄は万夫不当の勇があり、開山の大斧重さ六十斤を武器としております。

邢道栄に防がせれば問題ないでしょう」

劉賢は邢道栄を万夫不当の勇があると評価し、劉度を安心させたわけです。

劉度が邢道栄を呼び寄せると、次の様に述べます。

邢道栄「私の武芸は古の名将である廉頗や李牧にも劣りません」

邢道栄は古の名将に匹敵するだけの実力を自分は秘めていると述べたわけです。

廉頗や李牧は戦国七雄が争った時代の趙の名将であり李牧は無敵の強さを誇っていた秦の軍隊や匈奴を破った実績があり、廉頗は燕の５０万もの大軍を破った記録があります。

邢道栄は廉頗や李牧の様な、規格外の能力を持っていると劉度にアピールした事になります。

劉度は劉賢と邢道栄に１万の兵を与えて出陣させる事にしました。

諸葛亮を罵る

邢道栄が先陣となり、劉備の軍と対峙する事になりました。

邢道栄が先頭に立つと、次の様の述べています。

邢道栄「謀反人が、我が領内へ侵攻するとは何事であるか」

これに対し、劉備軍は諸葛亮が前に出て来ました。

諸葛亮は次の様に述べています。

諸葛亮「我こそは南陽の諸葛孔明である。

曹操の百万の大軍を破ったのは、儂の計略のお陰である。

其方らはさっさと降伏するがよい」

これに対し、邢道栄は「赤壁の戦いの勝利は周瑜の計略であって、貴様の計略ではない」と述べ、諸葛亮に切り掛かってきました。

邢道栄が降伏

邢道栄は勢いよく飛び出し、諸葛亮に襲い掛かりますが、諸葛亮は自陣に入っていきます。

邢道栄は諸葛亮を追いかけますが。ここで張飛と出くわしました。

邢道栄は張飛と打ち合いますが、とても敵わないと判断し、逃げようとします。

張飛と戦った邢道栄は「自分は万夫不当の勇者ではなかった」と気付いた可能性もあるでしょう。

邢道栄は逃げますが、伏兵の趙雲に出くわしてしまうと「とても敵わない」と判断し、降伏しています。

邢道栄は万夫不当の勇者だったはずが、呆気なく趙雲に降伏したわけです。

計略に利用される

邢道栄は劉備の本陣に連れて行かれますが、劉備は邢道栄を打ち首にしようとします。

これに反対したのが諸葛亮です。

諸葛亮は邢道栄に「劉賢を捕えて来れば許す」と述べると、邢道栄は劉賢を捕える事を約束し、次の様に述べています。

邢道栄「私が劉賢の陣に帰る事を許してくれるならば、一つの計略があります。

今夜、そちらの方で夜襲を掛けてください。

私が劉賢を生け捕り、献上致します。

劉賢が捕虜になれば、劉度も降伏するしかないでしょう」

劉備は反対しましたが、諸葛亮は邢道栄の話を聴き入れ、帰陣を許しました。

しかし、諸葛亮は邢道栄が裏切る事を予測し、わざと逃がしたわけです。

邢道栄の最後

邢道栄は劉賢の陣に帰ると、夜襲がある事などを劉賢に告げました。

邢道栄は夜襲を利用して逆襲する方法を、劉賢に提案し実行する事となります。

しかし、邢道栄や劉賢の策は諸葛亮に読まれており、結局は裏をかいたつもりが、裏を書かれており不利な戦いを強いられました。

こうした状況の中で、邢道栄は趙雲に出くわしてしまい、趙雲に一撃で突かれて命を落とします。

劉賢も張飛に捕虜とされてしまいました。

これにより劉度は戦意を失い零陵は陥落したわけです。

三國志演義では武安国、穆順、楊齢、秦琪などの様々なオリキャラがいますが、どれも今一つパッとしな印象です。

邢道栄もいいところなく最後を迎えたと言えるでしょう。

邢道栄の能力値