呂氏四柱について解説します。
呂氏四柱というのは、キングダムで呂不韋派にいる4人の臣下の事を指します。
ちなみに、史実では呂氏四柱というのは存在しませんし、昌平君、蒙武、蔡沢、李斯が呂不韋派だった記述もありません。
しかし、この4人が史実でどのような実績があるのかは気になる人が多いのではないでしょうか?
簡単ではありますが、呂氏四柱の史実での実績などを解説します。
昌平君は秦を裏切る
嫪毐の乱の時は、乱を鎮圧するなど活躍しています。
しかし、史実での昌平君は秦を離れる事になります。
紀元前226年に滅亡した韓の元貴族達が新鄭において大規模な反乱を起こす年に昌平君は秦を去っているのです。
その後、王翦が楚の項燕を破り楚王負芻(ふすう)を捕らえると、昌平君は項燕に擁立されて淮南の地で楚王となります。
しかし、昌平君の討伐を命じられた王翦と蒙武により敗れて、昌平君と項燕は死亡しました。
これが昌平君の史実での実績になりますが、秦で重用されていたにも関わらず秦を裏切るためにキングダムでは「ラスボス」との噂も立てられています。
蒙武は王翦の副将
蒙武の史実を見てみると武に優れていたのかどうかは、よく分かりません。
しかし、王翦の副将として楚を破り項燕を倒し負芻を捕虜にする戦いでも活躍しています。
さらに、昌平君と項燕が結託して楚王になると、これも討伐しています。
尚、キングダムでは蒙武と昌平君は幼馴染で親友のような設定になっています。
そのため、昌平君と蒙武は最後の最後で激突するのではないかと考えるのが普通でしょう。
キングダム作者の原泰久先生もそれを見越して、幼馴染の親友設定にしてあると思われます。
蒙武の子は蒙恬と蒙毅がいますが、どちらも始皇帝に可愛がられて出世しています。
統一後に李信や王賁は登場しなくなりますが、蒙恬は30万の軍勢を率いて北伐しています。
蒙武の父親である蒙驁、子の蒙恬、蒙毅など3代続いて名将を輩出した家柄と言えるでしょう。
ただし、2世皇帝の時代になると蒙恬・蒙毅は趙高により粛清されています。
蔡沢は外交で活躍
蔡沢の史実ですが、秦の昭王時代から登場しています。
秦の宰相である范雎に出処進退を進言して、宰相の位を去る事を進めます。
范雎自身も人選ミスなどもあり不安な気持ちもあった為に、宰相の印綬を昭王に返しています。
范雎が後任の宰相として推薦したのが蔡沢です。
蔡沢は宰相となりますが、大臣達の権力闘争に巻き込まれる事を恐れて1年もしないうちに宰相の位を辞退しました。
そして、外交官として燕の太子丹を人質とするなど活躍しています。
尚、キングダムの中で呂不韋は蔡沢の事を「先生」と呼んでいますが、昭王の時代には宰相の位にあった事に敬意を表しているのでしょう。
キングダムでは斉を合従軍から離脱させたり、斉王建を秦に連れて来て斉秦同盟を行っていますが、史実では蔡沢が考案したという記述もありません。
史記に范雎蔡沢列伝もありますが、大半は范雎の実績で終わっています。
李斯は丞相となる
李斯は始皇帝に気に入られて丞相となり秦が法治国家になるのに多大な貢献をしました。
史実では、李斯は呂不韋により取り立てられていますが、官位を与えられ始皇帝の側近だったように思います。
キングダムでも法の番人として描かれていますが、始皇帝自身が法治国家を望んだために重用されたのでしょう。
尚、韓の公子である韓非子とは荀子の元で一緒に学んだようです。
しかし、史記の韓非子列伝には「李斯は韓非子に遠く及ばないと自認していた」という記述もあります。
ちなみに、韓非子の最後は李斯と関係しているようですが、史記はその他の史書によって内容が食い違っています。
そのためはっきりとした事は分かりません。
焚書坑儒なども李斯が引き起こしたとも言われていて、悪く言われる事も多いです。
始皇帝が崩御すると、趙高の誘いに乗り遺言を偽り扶蘇を自殺させて、胡亥を皇帝に立てています。
しかし、趙高の独裁を招き結局は、罪に落とされて処刑されています。
キングダムで昌文君と法について語るシーンがありますが、「法とは人々の願い」という言葉は名言だと思いました。
余談ですが、逸話として李斯が丞相に就任した事を師である荀子が聞くと「李斯が宰相ではこの世の終わりだ」と言い自殺してしまった話があります。
本当かどうか分からない話ですが、李斯が宰相だと厳格な法治国家をして締め付けが凄まじいと感じたのかも知れません。
呂氏四柱について
呂氏四柱ですが、個性が強い人たちを集めたと思いました。
全員がキャラが立っていて、キングダムでは無くてはならないキャラ達だなと感じています。
既に漫画では蔡沢は亡くなってしまいましたが、他の3人はまだまだ健在です。
昌平君は秦から出奔してしまうわけですが、蒙武との最終決戦をどのように描くのか楽しみです。
あと、キングダムは天下統一して終わり説が根強いですが、秦帝国滅亡までやって欲しいと個人的には思っています。
しかし、やってしまうと李斯、蒙恬、蒙毅などが趙高の毒牙に掛かって死んでいくわけで悲しい最後となってしまうはずです。
それでも、どのようにして理想に燃えて作った帝国が呆気なく滅びるかも描いて欲しい気がします。