古代日本 日本神話

テナヅチ(手名椎命・手摩乳)は娘のお陰で裕福となり手長神社にも祀られている

2022年2月12日

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宮下悠史

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名前テナヅチ(手名椎命・手摩乳)
登場古事記、日本書紀
親族配偶者:足名椎命 娘:クシナダヒメ
生没年不明
コメント美人の娘を持つと一族が栄える例とも言える。
関連手長神社、

手名椎命は古事記に登場する神であり、日本書紀では手摩乳の名前で記述されています。

テナズチと記載される場合も多いです。

日本書紀よりも古事記の方が、日本人には馴染みが深い為、ここでは手名椎命の名前で話を進めていきます。

手名椎命の夫が足名椎命であり、スサノオ八岐大蛇を退治する話で老夫婦のおばあさんとして登場します。

手名椎命と足名椎命は登場した時から老夫婦であり、二人がどの様にして出会い結ばれたのか?などの記述はありません。

手名椎命はクシナダヒメの母親でもありますが、娘のお陰で裕福な生活が送れる様になったとも感じました。

今回は古事記や日本書紀に、登場する手名椎命を解説します。

因みに、長野県の諏訪市には、手名椎命を祀っている手長神社があります。

上記の画像は手長神社のものです。

まぐわいで子供を生む

手名椎命には、クシナダヒメも入れると8人の子がいた事が分かっています。

普通に考えれば、子宝に恵まれたと言えるでしょう。

神々が誕生するパターンは、男女の神がまぐわいを行う事で新たなる神が誕生するケースがあります。

神代七代のイザナギイザナミ三貴士のスサノオとクシナダヒメ、出雲を支配した大国主ヤガミヒメなどのパターンです。

まぐわいを行い神が誕生するのは、人間的な神々の誕生だと言えます。

これに対し、イザナギが黄泉の国から帰った後に、を行い一人で神々を誕生させる場合もあります。

他にも、造化三神の様に何もない場所から、神々が現れるケースもあるわけです。

手名椎命の場合は、パートナーとして足名椎命がいる事から、まぐわいによりクシナダヒメを始めとした、8人の娘を授かったと考えるのが自然だと思いました。

夫婦関係にある場合は、男女のまぐわいにより神を誕生させるのが普通だからです。

天照大神とスサノオが誓約により、神々を誕生させていますが、天照大神とスサノオは姉と妹の関係であり、夫婦ではありません。

それを考えれば、手名椎命と足名椎命が、まぐわいを行い8人の神々を誕生させた様に感じました。

尚、手名椎命と足名椎命は八岐大蛇の話から8人の娘がいた話しもあり、手名椎命はクシナダヒメを生んだ時には、高齢出産だった可能性もある様に思います。

美人の娘を持つと一族は栄える

スサノオは八岐大蛇を退治した暁にはと、娘のクシナダヒメを望みました。

手名椎命と足名椎命は、最初は難色を示しますが、スサノオが三貴士の一人である天照大神の弟だと知ると了承しています。

古代は家柄がかなり大事だった事を現わすのでしょう。

スサノオは見事に八岐大蛇を退治し、手名椎命の娘であるクシナダヒメはスサノオと結婚しました。

歴史的に見ると、娘が絶世の美女だったが故に、出世した一族もあります。

中国では後漢王朝の霊帝の妃となった何皇后や、春秋戦国時代の趙の悼襄王の妃となり幽穆王を生んだ悼倡后などが挙げられます。

同じ様に手名椎命もクシナダヒメがスサノオに嫁いだ事で、多いに家は栄えたはずです。

実際に、手名椎命の夫である足名椎命は、スサノオが須賀に宮殿を造営した時に、稲田宮主須賀之八耳神の名を賜わり宮殿の支配人にもなっています。

クシナダヒメのお陰で、足名椎命と手名椎命の夫婦は多いに出世した事になるでしょう。

「長生きしていればいい事がある」という例にもなる様に思いました。

ただし、8人の娘の中で7人は、八岐大蛇に食べられてしまった事を考えると、不幸な面も多々あった様に感じています。

手名椎命が祀られている神社

手長神社

手名椎命を祀っている神社として有名なのは、長野県の諏訪市にある手長神社となります。

手長神社(wiki)

同じく諏訪には足名椎命が祀られている足長神社もあり、手名椎命と足名椎命が別々で祀られているのが特徴です。

長野県の諏訪には大国主の息子で建御名方神(タケミナカタ)が祀られている諏訪大社も存在します。

スサノオの子孫でもあるタケミナカタと、スサノオの妻の親にあたる手名椎命と足名椎命が、同じ地域で祀られているのは興味深いと言えるでしょう。

手長神社〒392-0003 長野県諏訪市上諏訪茶臼山9556TEL0266-52-1007

須佐神社

出雲神話が書かれている出雲国風土記にスサノオが「この国は小さいがよい場所である」と述べた話があります。

スサノオはこの地域を「須佐」と名付けたと伝わっています。

須佐神社では、スサノオだけではなくクシナダヒメや稲田比売命、足摩槌命、手摩槌命も祀られています。

手摩槌命は「手名椎命」であり一緒に祀られている事が分かるはずです。

須佐神社では八岐大蛇の話に関連する四柱が祀られていると言えるでしょう。

尚、須佐神社は出雲が有名ですが、和歌山県にも存在しますが、こちらでは手名椎命は祀られてはいません。

和歌山県の須佐神社では、スサノオの子である五十猛命が祀られているなど、紀伊のオオヤビコノカミに近いと言えるでしょう。

須佐神社(出雲)〒693-0503 島根県出雲市佐田町須佐730TEL0853-84-0605

八重垣神社

八重垣神社の境内社御祭神として手摩乳神社があり、手名椎命が祀られています。

八重垣神社はスサノオがクシナダヒメを妻に迎えた時に、八重垣を題材にした日本で最初に和歌を詠みました。

八重垣神社の名前が、スサノオの和歌と関係している事は言うまでもないでしょう。

他にも、手名椎命と足名椎命が一緒に祀られている足次神社があります。

ただし、足次神社で祀られているのはスサノオだとする説もあり、はっきりとしない部分もある様です。

八重垣神社〒690-0035 島根県松江市佐草町227TEL0852-21-1148
足次神社〒715-0006 井原市西江原町44 

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