キングダムには斉王建なる人物が登場します。
なぜかは分かりませんが、口の中に蛇を入れたりするくらい、蛇が好きなようです。
史記や戦国策、諸子百家の書などを調べてみましたが、斉王建が蛇が好きだと言う記述は発見出来ませんでした。
そのため、蛇を口に中に入れるのはキングダムのオリジナル設定だと思われます。
ちなみに、蛇が口の中に入っていたら喋りにくいのでは?と言うツッコミはしない事にしておきます。まじめな話をしながらも、蛇が口から顔を出していたりしたら、普通であれば変な空気になるんじゃないかと思います。
それと、秦王政と対談した時も、口の中に蛇がいましたが、相手に対して失礼になるんじゃないかと思った次第です。
やめるように諫言するような人材は、斉にはいないのでしょうか?
秦王政もそれを見ているはずなのに、普通に接しているのも、普通に考えればおかしいでしょう。しかし、秦の咸陽で秦王政と会談した時は、すごくまともな感じだと思ったのは私だけではないでしょう。
秦王政と斉王建の会談について
秦王政と斉王建の会談については、実際に史記にも書かれているので事実だと思われます。
ただし、その時の会談の内容についてはよく分かりません。
史記には斉王建が秦に行った事だけしか書かれていないからです。
因みに、キングダムでは斉王建の後に、李牧と秦王政の話がありますが、この話は史実にはありません。
しかし、その後に斉がどこの国も助けなかった事実はありますし、斉は他国にも攻め込まずに大人しくしていた事実はあります。もちろん、斉の人で斉王建にこのまま何もしないと秦に滅ぼされるから、他の5国を助けるように進言した人はいたようです。
しかし、そういう話にも耳を貸さずに斉は秦が他国を亡ぼしても動こうとしませんでした。
実際に、秦王政と斉王建の会談の内容は分かりませんが、史実でも斉王建と秦王政の間で密約が結ばれていて、斉の降伏?が約束されていたのかも知れません。
そこは、当時の秦や斉の首脳にしか分からない部分でしょう。
斉は秦からの賄賂で国を滅ぼした?
しかし、一般的には斉が他国を助けなかった別の理由が語られています。
ここでキーポイントになるのは斉の宰相をしている「后勝」という人物です。
この人物は秦から多額の賄賂をもらって秦のために動いたとされています。
まず、斉の賓客を多数秦に送り込んだとされているのです。
送り込んだ賓客たちは、秦で買収されて、秦のために都合のよい報告ばかりをしたようです。
つまり、他の5国が秦に攻撃をされても助けないように、進言したのでしょう。
そのため、斉では他の5国を助ける事がありませんでした。
そして、秦は韓・魏・趙・燕・楚を亡ぼしてしまいます。
もちろん、最後に残った斉を許すはずもなく最後は斉に侵攻して斉は滅亡しました。
ちなみに、斉に侵攻した将軍の名前に李信とあります。
よって、キングダムの主人公である「信」は斉を滅亡させた将軍となるわけです。
正確に言えば、王賁、蒙恬、李信の3人組ですけどね。
斉王建のその後
秦が5国(韓・魏・趙・燕・楚)を亡ぼした時に戻りますが、ようやく斉は動き出します。
そこで、危機を感じたのか、国境を閉鎖して国交を閉じたとされています。
しかし、秦は斉に侵攻していきましたが、斉の人は抵抗をしなかったような記述があるのです。つまり、ほぼ無抵抗で斉を亡ぼしたと言う事なのでしょう。
キングダムも最後に斉を亡ぼして終わりになるかも知れませんが、最後の斉が戦いもなく無条件降伏をしたらガッカリする人も多いかも知れませんね。
それか、最後に斉の首都に行ったら斉王が口から蛇を出して何かしてくれる可能性もありますが・・・。
話を戻しますが、その後、斉王建は「共」という場所に移されたとされています。
実際には幽閉された状態だったとされる説が強いです。その時に、斉では「斉が賓客のせいで滅ぼされた」とする趣旨の歌が流行ったとも言われています。
斉王建の評価
史実を見るととても有能な王様には思えないのが斉王建です。
ただし、斉王建が即位してしばらくは母親である「君王后」という人物が政務を見ていたようです。斉王建が本格的に政治を見るようになったのは、「君王后」が死去してからでしょう。
斉王建が即位した後の話で、長平の戦いで、趙が食料の援助を頼んだ時も断っています。
しかし、この時に家臣に「他の国が滅びれば次は斉が亡ぼされるから食料を援助して助けた方がよい」と進言されていたにも関わらず、賓客に惑わされて断ったとされています。
しかし、もしかして秦王政とのような会談があり斉は手出しをしなかった可能性もあるのではないかと思います。実際の人物の評価を言うのは、非常に難しくキングダムの斉王建のような考え方を持っているのであれば、中華全土の事を考えた名君となるでしょう。
しかし、キングダムの作者と言うのは、本当にちょっとした記述から、壮大なる発想をしてしまうところが凄いと思いました。
斉が復興する
始皇帝死後の話なのですが、斉王建の弟である「田仮」と言う人物が秦に反旗を翻して挙兵しています。
しかし、田栄との内紛などもあり結局は、殺されています。
この時に、田横なる人物が斉に登場するわけです。
項羽と劉邦の戦いの時に登場する人物なのですが、作家の宮城谷昌光さんは、「田横こそ理想の人物」と言っています。
実際に、田横を主人公にした香乱記という小説や楚漢名臣列伝の中に詳しく書かれています。
ちなみに、田横が死んだときに、500人が後追い自殺をしたという記述があります。
よっぽど人望のある人物だったのでしょう。