蘇飛という人物を知っているでしょうか?
蘇飛を知らない人は多いかも知れません。
ちなみに、蘇飛がいなかったら甘寧は呉の武将として活躍出来なかった可能性が高いです。
今回は、地味に思うかも知れませんが、蘇飛を紹介します。
蘇飛が黄祖に甘寧を推挙する
蘇飛は、甘寧の能力を高く評価していました。
甘寧は元海賊ではありますが、多数の家来を有していて黄祖の配下となったわけです。
蘇飛は、主君である黄祖に甘寧を推挙します。
もっと高い位に就かせるように勧めたわけです。
しかし、黄祖は海賊出身だという理由で甘寧を重用しようとはしませんでした。
甘寧が手柄を立てるも
黄祖は孫権と争い戦いが起こります。
この戦いで、黄祖はいいところなく敗れてしまうわけですが、孫権軍に追撃されてピンチに陥ります。
この時に、黄祖を救ったのが甘寧です。
甘寧は弓の名手でもあり、追撃してきた孫権軍の大将である淩操を弓矢で討ち取る功績を挙げました。
黄祖を守り絶大な働きをしたわけですから、普通で考えれば多大な恩賞があってもおかしくはありません。
しかし、黄祖は甘寧に恩賞を与えるどころか、甘寧の食客などを引き抜いたりもしています。
これにより甘寧は人間関係も冷え込んでいったようです。
蘇飛は、黄祖に甘寧に対する態度を改めるように促しますが、黄祖は聞く耳を持ちませんでした。
尚、ここで淩操を射殺してしまった為に、後の呉で同僚となる淩統からは恨まれてしまう事になります。
三国志演技では甘寧と淩統の因縁と和解が名場面になっています。
引き立て役になってしまった魏の楽進は気の毒ですが・・。
蘇飛が甘寧に言った言葉が熱い
蘇飛も甘寧を推挙する事は諦めたようで、甘寧には次のように言っています。
蘇飛「私は何度も、お主(甘寧)を黄祖に推挙したが、一向に聞いてもらえない。お主も人生は一度だけのものだからよく考えてみたらどうか」
要は、黄祖の元を去り孫権に移れと言っているわけです。
この言葉は自分の主君である黄祖よりも孫権を褒めているような困った言葉でもありますが、甘寧の事を考えての優しい言葉だったように思います。
そして、蘇飛も甘寧が孫権の元に移りやすいように、邾の役人に推挙して孫権に移りやすいように手はずを整えています。
孫権は、甘寧と語り合うと大いに気に入ったようです。
尚、この時に甘寧は孫権に荊州や益州を取って魏に対抗する事を進言しています。
天下三分の計ではなく、天下二分の計を進言して、孫権に大いに喜ばれたそうです。
魏の重鎮である張昭などは、甘寧の天下二分の計や魯粛の発言は現実的ではないと考えていた様ですが、孫権は大いに甘寧を重用する事になります。
蘇飛を甘寧が救う
そのため父の敵討ちを孫権は実効に移す時が来ました。
そして、黄祖を破り都督である蘇飛を生け捕る事に成功します。
この時は、「江夏に黄祖あり」と呼ばれていた黄祖自身も老害になっていたようです。
蘇飛は捕らえられて牢に放り込まれたわけですが、牢から甘寧に手紙を出します。
その手紙を見て甘寧が孫権に地に頭を下げて許しを請います。
甘寧は、自分を高く評価してくれていた蘇飛に対して恩を感じていたわけです。
そして、孫権は蘇飛を許しました。
父親孫権の墓前には、黄祖の首だけが供えらる事になったわけです。
甘寧は、料理人を射殺してしまったり粗暴な所も多くありますが、根はいい奴なのかも知れませんね。
ただし気性は荒いと言えるでしょう。
推挙してくれる人がいる事は大事
自分の能力を磨く事も大事ですが、推挙してくれる人がいる事は大事だと思いました。
昔の記事にも書きましたが、藺相如における繆賢、管仲における鮑叔、商鞅における秦の孝公、太史慈における孫策、趙奢における平原君などでしょう。
自分を引き立ててくれる人がいる事は大事ですね。
歴史上の英雄を見た時も、必ず能力を認めて引き立ててくれた人がいます。
活躍する人よりも、才能がある人を推挙出来る人が本当の偉人だと考えるのも大切かなと思いますした。