名前 | 神世七代 |
読み方 | かみのよななよ |
登場 | 日本神話 |
神世七代は日本神話における天地開闢の時に出てきた七代の神様を指します。
神世七代は「かみのよななよ」と読みます。
古事記では神世七代の前に、造化三神や別天神が登場しますが、日本書紀ではいきなり神世七代の話から入ります。
神世七代の神々ですが、最後に登場するイザナギとイザナミ以外は現れては隠れるだけです。
その為、よっぽどマニアックな人以外は神世七代の神々の全ての名前まで、覚える必要はないと考えています。
ただし、日本書紀においては神世七代の初代である国之常立神が最高神として位置づけられており、国之常立神だけは覚えておいてもよいでしょう。
神世七代の重要神はイザナギとイザナミの二柱です。
尚、古事記と日本書紀では神世七代の神が一部違っています。
下記が神世七代の古事記と日本書紀の対応表となります。
上記の図を見ると分かる様に、古事記では日本書紀の二代目である国狭槌尊が登場せず、逆に日本書紀では古事記四代目の角杙神・活杙神が登場しない様になっています。
日本書紀の二代目である国狭槌尊は現れて消えるだけであり、特に逸話などはありません。
よって、古事記の神世七代の初代から七代目のイザナギ、イザナミまでを解説します。
尚、神世七代全員を祀っている神社としては根小屋七代天神社や物部神社(境内末社)、十三神社、十二神社、宮浦宮などがあります。
神世七代の神社に関しては、最後の方にまとめて紹介してあります。
日本の創世神話の特徴
神世七代は別天神の話と合わせて日本の創世神話と言ってもよいでしょう。
世界の創生神話を考えると「造る」「生む」「成る」のどれかを採用しているのが大半です。
「造る」は人間は神が造ったとなり、「生む」は人間は神が生んだと解釈されます。
そに対し日本神話は神を造ったわけでも生んだわけでもありません。
別天神や神世七代の神々を見ても、何もない所から神々が誕生しており「成る」が採用されているわけです。
古事記、日本書紀共に神世七代の神々は、何もない所から成り出て来て、大半は何もせずに姿が消えます。
国之常立神(初代)
造化三神の天之御中主、高御産巣日神、神産巣日神と、宇摩志阿斯訶備比古遅神と天之常立神で別天神と呼ばれている神は、姿を現しては隠れてしまいました。
ここから先が神世七代となります。
神世七代の初代が国之常立神です。
国之常立神も別天神と同じように独神であり、国土の永遠を司る神様とも考えられています。
日本書紀では国之常立神が最高神となりますが、特に何もせずに身を隠しました。
豊雲野神(二代目)
古事記における神世七代の二代目として現れたのが豊雲野神です。
豊雲野神は日本書紀では豊斟渟尊と書かれており、神世七代の中では三代目となっています。
日本書紀では神世七代の二代目として国狭槌尊がいますが、先にも述べた様に古事記には登場しません。
豊雲野神は大自然に命を吹き込む神であり、大自然を司る神とも考えられています。
しかし、豊雲野神も何もせず隠れてしまいました。
尚、神世七代の中で豊雲野神までが独神であり、男女の性別も無く単細胞生物の世界の話だったのではないか?とする説も存在しています。
宇比地邇神・須比智邇神(三代目)
古事記における神世七代の三代目が宇比地邇神と須比智邇神です。
宇比地邇神・須比智邇神は日本書紀だと泥土煮尊・沙土煮尊の名前で記載があります。
ただし、泥土煮尊・沙土煮尊は日本書紀では神世七代の四代目の神となっています。
宇比地邇神・須比智邇神からは男女ペアの神となっているのが特徴です。
宇比地邇神と須比智邇神から男女の姓が整えられたのではないか?とも考えられています。
独神は単性生殖を指し、男女ペアの神は進化した姿だとする説もあります。
宇比地邇神は大地の象徴である泥土の神であり、対となる須比智邇神は砂土の神だと解釈される事が多いです。
世界に泥と砂が現れたと見る事も出来ます。
角杙神・活杙神(四代目)
古事記の神世七代における四代目が角杙神・活杙神です。
角杙神と活杙神も男女のペアの神となっています。
尚、角杙神と活杙神は日本書紀では神世七代に入れられてはいません。
角杙神と活杙神は家屋を造る杭をさしているのではないか?とも考えられています。
一つの説では神世七代の四代目である意富斗能地神が大斗乃弁神が家の門を指すのではないか?とする説もあります。
大地が整い家屋が出来るなど、原始の生活が誕生する様子を描いている様にも感じるわけです。
意富斗能地神・大斗乃弁神(五代目)
神世七代の五代目が意富斗能地神が大斗乃弁神です。
日本書紀では、それぞれ大戸之道尊と大苫辺尊だと記載があります。
神世七代の五代目からは古事記と日本書紀共にメンバーが固定されていきます。
先に述べた様に、意富斗能地神と大斗乃弁神は家の門を表すのではないか?とも考えられています。
しかし、別説として神世七代の四代目である角杙神・活杙神は男根を指し、意富斗能地神と大斗乃弁神が女陰を指すのではないかともされています。
ただし、古事記や日本書紀には簡略な記述しか存在せず、あくまでも想像の産物と考えた方がよいでしょう。
淤母陀琉神・阿夜訶志古泥神(六代目)
神世七代の六代目が淤母陀琉神と阿夜訶志古泥神になります。
日本書紀では面足尊・惶根尊と記載されています。
「君は綺麗だ」と女性の美貌を賛美した言葉を男神の名前とした淤母陀琉神であり、男性の賛美を受けて「恐れ多くて勿体ない」と答える神が阿夜訶志古泥神です。
これを見ると淤母陀琉神と阿夜訶志古泥神は男女の恋愛の神に見えなくもなく、口説き文句の神にも見えます。
淤母陀琉神と阿夜訶志古泥神は言葉選びの神だったとも考えられています。
伊邪那岐神・伊邪那美神(七代目)
神世七代目が伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)となります。
神世七代の最後であるイザナギとイザナミが国生みや神生みを行い日本列島や様々な神々を創り出していく事になります。
しかし、イザナミはカグツチを生んだ時に亡くなってしまい、イザナギは黄泉の国までイザナミを迎えに行きました。
黄泉の国でイザナミの姿を見たイザナギは逃げ出し、イザナミと決別しています。
この後に、禊を行ったイザナギは天照大神、月読命、スサノオの三貴士を誕生させています。
三貴士を誕生させたイザナギは天照大神に高天原を任せ引退しました。
これにより神世七代の話は終わり、舞台は天照大神やスサノオを中心とした物語に移行します。
尚、神世七代から神武天皇の繋がる天照大神・天忍穂耳尊・瓊瓊杵尊・火折尊・鸕鶿草葺不合尊の家系を地神五代と呼びます。
神世七代を祀る神社
最初にも記載しましたが、神世七代の全ての神を祀る神社は存在します。
尚、御祭神が天神七代となっている神社は基本的に、神世七代の神が祀られている神社です。
神社名 | 住所 | お問い合わせ |
物部神社(境内末社) | 島根県大田市川合町川合1545 | 0854-82-0644 |
十二神社(東京) | ||
十三神社 | 海草郡紀美野町野中493番地 | 073-495-3755 |
根小屋七代天神社 | 茨城県石岡市根小屋416 | |
宮浦宮 | 鹿児島市照国町19-20 | 099-223-0061 |
神世七代の神々のまとめ
古事記、日本書紀、旧事本紀の神世七代の神々をまとめました。
旧事本紀では別天神の天御中主尊や可美葦牙彦舅尊が神世七代の初代として書かれており、一代につき三柱の神がおり七代目だけが七柱の神々が書かれている事が分かります。