古代日本 日本神話

ヒルコ(水蛭子、蛭子)は捨て子から恵比須様となり帰って来た神

2022年2月22日

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名前ヒルコ(水蛭子)
別名蛭子、蛭児、蛭子神、蛭子命、恵比寿、恵比須、戎大神、夷三郎殿、西宮大神、西宮大明神
登場日本書紀、古事記、色葉字類抄、源平盛衰記など
親族父親:イザナギ、母親:イザナミ 兄弟:アハシマ、日本列島
コメント捨て子にされるも民間信仰で恵比寿様となりカムバック
関連西宮神社、蛭子神社、須部神社、八坂神社など

ヒルコはイザナギとイザナミの間で、最初に出来た子です。

ヒルコは日本列島の島になる予定ですが、ふにゃふにゃとした体を持ち国土にはならないと判断され、葦の船で海に流されてしまいました。

古事記や日本書紀だと流された後に、ヒルコの記述はなく、どうなったのかはよく分かりません。

しかし、ヒルコは民間信仰として復活し、七福神の恵比須様になったとする説もあります。

ヒルコに関しては、様々な見解があり太陽神だったのではないか?とする話も存在する程です。

今回はイザナギとイザナミの間で、最初に出来た子であるヒルコの解説をします。

因みに、ヒルコは失敗作とされていますが、世界の神話を見ると何かを成し遂げようとした時に、最初に失敗するのはよくある話です。

尚、ヒルコと関係が深い神社などは、最後に解説します。

ヒルコの誕生

イザナギとイザナキは、造化三神や神世七代の神々の命令により、日本列島を造る事にしました。

イザナギとイザナミは天の浮橋から地上を眺め、天沼矛を使いオノゴロ島を造ります。

オノゴロ島に舞い降りたイザナギとイザナミは、天の御柱や八尋殿を一瞬で建造した話があります。

イザナギとイザナミは、天の御柱を周りであった場所で、結婚する事にしました。

イザナギとイザナミは天の御柱を周りであった場所で結婚しましたが、この時にイザナミの方からイザナギに声を掛けてしまったわけです。

その後に、イザナギとイザナミは男女の交わりである「まぐわい」を行いました。

イザナギとイザナミによるまぐわいで、最初に誕生した子がヒルコとなります。

ヒルコは子として認められなかった

イザナギとイザナミのまぐわいの目的は、日本列島を造る事でした。

しかし、誕生したヒルコは、ふにゃふにゃしており骨が無い様な状態だったわけです。

ふにゃふにゃした体のヒルコでは、大地とは呼べず人も住む事が出来ない事は明らかでした。

イザナギとイザナミはヒルコを失敗と判断し、ヒルコは葦の船で海に流されています。

ヒルコは捨て子となり、これ以降は古事記では登場しなくなります。

アッカドサルゴンには、捨て子伝説があり、捨てられたサルゴンは民間で育てられ、最終的にメソポタミア地方を統一する王になった話があります。

しかし、ヒルコの場合は記紀には復活劇がなく、このまま物語からフェードアウトしてしまいました。

これでヒルコは終わりと思いきや、ヒルコは別の形で復活する事になります。

ヒルコはイザナギとイザナミの第一子として、認められなかった話もあります。

さらに言えば、イザナギとイザナミはヒルコを葦の船で流してしまい酷いと感じた人も多いかも知れません。

しかし、ヒルコを捨て子にした事への好意的な解釈も存在します。

ヒルコを捨てた事への好意的な解釈

未熟児では生きていはいけない

イザナギとイザナミがヒルコを捨て子にしてしまった話ですが、捨て子にしたのは当時の環境が影響しているとする説があります。

イザナギとイザナミがヒルコを造った段階では、日本列島はオノゴロ島しかないわけです。

つまり、ヒルコが登場した当時の地球は原始の地球であり、過酷な環境だったとも考えられます。

こうした過酷な環境では、ヒルコの様な未熟児では生きて行く事が出来ず、仕方がなく捨て子にした説もあると言う事です。

泥が生命の源だった

ヒルコを捨て子にした別説としては、ヒルコをパワーアップさせる為に、葦の船で海に流したともされています。

海の中には泥があり、当時の感覚では泥が生命の源だったとする話しもあります。

造化三神の後に出て来た別津天神のウマシアシカビヒコヂも「水辺から葦の芽が出る様に」とする記述がある様に、泥には不思議な力があったと考えるべきでしょう。

泥が生命の源だったとするのであれば、イザナギとイザナミがヒルコを海に流したのは、生きる力を得る為のものだとも考えられるはずです。

ただし、古事記や日本書紀には何のために、ヒルコを海に流したのか?に関する説明がなく、真相は不明だと言えるでしょう。

帰って来たヒルコ

平安末期に編集された『色葉字類抄』には、ヒルコが西宮神社の蛭子神となった話があります。

西宮神社によれば摂津国西の浦に流れ着いた水蛭子は、戎三郎として育てられ、最終的に神として祀られたわけです。

さらに言えば、ヒルコは民間信仰で、恵比寿様になったとする逸話もあります。

ヒルコは民間信仰で漁場の神や福の神となります。

ヒルコが漁場や福の神として信仰されたのが確認出来るのは、室町時代に入ってからです。

足利尊氏が興した室町幕府では、商人の台頭があり、商人は商いの保護する神様を求めます。

商人達からの願いにより、恵比寿信仰が始まったとも考えられています。

ヒルコは民間信仰により、皆に喜ばれる神となり帰って来たとも言えるでしょう。

因みに、因幡の白兎で有名なヤガミヒメは、大国主との間に生まれた木俣神を置いたままで因幡に帰ってしまいました。

ヒルコが民間信仰で返って来たのに対し、木俣神は、その後が不明であり、木俣神に比べるとヒルコはかなり扱いがよいとも言えます。

ヒルコは海の神、漁場の神、海上安全、交易の神、市場の神、商業の神、農業の神と海や商業に関する事で、多く祀られている神でもあります。

余談ですが、ヒルコを祀る総本社とも言える西宮神社で、毎年恒例で行われている福男選びは有名です。

多くの人々が福男を目指して一斉に走り出す姿は、滑稽にも見えますが注目の行事でもあります。

ヒルコは太陽神だった!?

ヒルコは元々は「日る子」で、太陽神だったとする説があります。

日本神話での太陽神と言えば、天照大神を思い浮かぶ人が多いかと思います。

しかし、ヒルコが太陽神になってしまうと、天照大神とヒルコで太陽神が二人になってしまいます。

「太陽神は二人もいらない」という理由から、ヒルコが流されて物語から消えてしまったとする説です。

物語的にも天照大神が天岩戸に籠ってしまい、世界が混乱した話がありますが、ヒルコが太陽神であるならば、天照大神は天岩戸から出て来る必要もなくなってしまいます。

そうした事情などから、ヒルコは消されてしまったとする話もあります。

ハンディを負う神は世界にもいた

先に述べた様に、ヒルコは未熟児でありハンディを負った状態で生まれてきました。

しかし、世界の神話を見ると、ハンディを負った状態で生まれて来る神は珍しくはありません。

北欧神話の神でオーディンの息子であるヘズは盲目で生まれていますし、ケルト神話のヌアザは戦場で武勇を轟かすも、戦いに敗れて片腕を失っています。

ギリシャ神話のゼウスとヘラの第一子で、オリンポス12神に数えられるヘパイストスは、生まれた時から足が不自由であり、ヘラの怒りを買い海に捨てられました。

ヒルコと同様にヘパイストスも海に捨てられていますが、イザナギとイザナミの場合はヘラに比べると穏便に海に流した様に感じます。

因みに、海に捨てられたヘパイストスは後に、海の神々に育てられ神々の世界に帰還すると、鍛冶屋の神となり神々の武器を作った話があります。

ただし、ヘパイストスも良い事ばかりではなく、美の女神アフロディーテと結婚しますが、性格に問題があるアレスと浮気され離婚しました。

人生山あり谷ありで、ハンディを負って生まれればハッピーエンドで終わるものでもないのでしょう。

ヒルコが未熟児だった理由

イザナギとイザナミはヒルコを流した後に、再び子を作りますが、出来たのがアワシマであり、ヒルコ同様に失敗に終わりました。

イザナギとイザナミは高天原の神々に相談し、支持を仰ぐと「イザナミからイザナギに声を掛けたのが原因」とする答えが返ってきます。

そこで、イザナギから声を掛けてまぐわいを行うと、日本列島の最初の島である淡路島が誕生したわけです。

古事記と日本書紀では島が誕生した順番は違いますが、どちらも最初に誕生した島は淡路島となっています。

国生みを成功させたイザナギとイザナミは次々に島を造り日本列島を完成させ、次に神産みの段階に入るわけです。

これらを考えると、ヒルコが未熟児として生まれた原因は、ヒルコ本人に原因があったわけではなくイザナギとイザナミにあったとも言えるでしょう。

健康な子を生む為には、親としての努力の必要だという教えにも感じました。

さらに言えば、男女の関係は男から誘うべきものなのでしょう。

ヒルコを祀った神社

神社名住所電話番号
えびす宮総本社 西宮神社〒662-0974 兵庫県西宮市社家町1−170798-33-0321
柳原蛭子神社〒652-0806 兵庫県神戸市兵庫区西柳原町5−20078-651-0183
和田神社〒652-0863 兵庫県神⼾市兵庫区和⽥宮通3-2-45078-652-1551
須部神社(恵比須神社)〒919-1522 福井県三方上中郡若狭町末野36−110770-62-0502
蛭兒神社〒899-5116 鹿児島県霧島市隼人町内2563
蛭子神社 (徳島市)〒770-0874 徳島県徳島市南沖洲1丁目2−12
八坂神社〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側625075-561-6155
胡子神社〒730-0021 広島県広島市中区胡町5−14082-241-6268
石津太神社〒592-8334 大阪府堺市西区浜寺石津町中4丁12−7072-241-5640

この記事を書いた人

構成・文/宮下悠史

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